健康診断時のバリウムがトイレで詰まる?!流れない原因と対処・予防法

健康診断の「胃透視検査」でバリウムを飲んだ後、排便後に「トイレが詰まる」「流れない」と慌てた経験はありませんか?
白く濁った水や、便器にへばりついたバリウムがなかなか落ちず、掃除や対処に苦労する方も多いものです。
実はバリウムは水に溶けず重いため、節水型トイレとの相性が悪く、詰まりの原因になることもあります。
この記事では、バリウムがトイレで流れない理由や事前対策での流し方、効果的な掃除法、業者への相談ポイントまでを丁寧に解説します。
バリウムがトイレで流れないのはなぜ?
健康診断で飲むバリウムが「トイレで流れない」ため困る人は実は多いものです。
原因は、バリウムの性質やトイレとの相性にあります。
まずはバリウムの特徴から見ていきましょう。
そもそもバリウムの性質と注意ポイントは?
バリウムとは、胃透視検査で使われる白い造影剤のことです。
レントゲンを撮る際に、バリウムが胃の内壁に付着し状態を映し出すことで、ポリープや潰瘍などの異常を発見しやすくします。
バリウムには、いちごやバナナなどの味がついていますが、実際は水に溶けない鉱物を検査用に安全な形に加工したものです。
そして、バリウムは排出が遅くなると水分がなくなり固まる性質を持っているため、以下の点を理解しておきましょう。
- 排出されず重症化すると手術が必要になることもある
- 検査当日に排出できるよう、水を多めに飲み下剤は指示通りに服用する
- 万が一、排便がない時は早めに健康診断を受けた病院に相談する
まずは、便器への付着を気にしすぎず、しっかり排出することが最も大切です。
ただし、事前の対策によってはスムーズに流れる場合もあるため、予備知識を持っておくと安心です。
流れないのは、水より重く沈みやすいから
バリウムがトイレで流れにくいのは、水より重いため沈みやすい性質を持っているからです。
また、鉱物が主成分であるため水に溶けず、粘り気もあります。
バリウムを流した際に、見られるのは以下のような現象です。
- バリウムが便器の水底に沈んで残る
- 「流れた」と思っても、しばらくすると白く濁った水が戻ってくる(便器内の排水トラップに貼り付いている)
とくに便器奥やトラップに流れて固着したバリウムは見えにくくなるため、気づかないうちに詰まりの原因になることもあります。
白い水が戻ってくる時は、流れているように見えても、内部に残っている可能性があると理解しておくことが大切です。
節水型トイレとの相性が悪い

バリウムが流れにくい原因のひとつが、節水型トイレの水量です。
節水トイレとは、水を節約できるように少ない水量で流れる設計のトイレで、1回の洗浄水は6リットル以下で、従来型(約13リットル)の約半分に抑えられています。
そのため、洗浄水が少ない分、水圧が弱くなり、粘り気のあるバリウムを一度に押し流すには力不足となる場合があります。
■節水トイレかどうか見分けるポイント
・2010年以降に設置された便器は節水トイレである可能性が高い
・メーカーと型番から説明書などを検索して性能をチェック、洗浄水量が6L以下の場合は節水トイレ
バリウム排出時には十分な水量が必要ですので、節水型トイレの場合は、事前の対策が重要になります。
バリウムが流れないときの対処法
バリウムがトイレで流れないときは、焦らずに冷静に対処しましょう。
まずは自分でできる、物理的に取り除く方法からご紹介します。
割りばしやゴム手袋で取り除く

バリウムが固まって便器内に残ってしまった場合は、割りばしやゴム手袋を使って物理的に取り除くのが最も効果的です。バリウムは時間が経っても自然に流れることはありません。
おすすめの方法は以下のとおりです。
■割りばしやゴム手袋で取り除く方法
| 準備する道具 | 割りばし・ビニール袋・ゴム手袋 |
| 手順 | ①割りばしでバリウムを削ぎ落とすようにこすって便器から取り除く ②割りばしの後ろ側をヘラのように使うと力を入れやすい ③使用後は割りばしごとビニール袋に入れ、燃えるごみとして処分 |
木製の割りばしは便器を傷つけにくく、扱いやすいのがメリットです。
便器の奥に手を入れる際は、必ずゴム手袋を着用し、衛生面にも十分注意しましょう。
固形になったバリウムが残ったままだと、後々詰まりの原因になるため、早めの対応が大切です。
トイレブラシで便器内をこすり落とす

バリウムが便器の表面にこびりついている 場合は、トイレブラシでこすって落としましょう。
■トイレブラシで取り除く方法
| 準備する道具 | トイレブラシ(古歯ブラシでもOK)・ゴム手袋・ビニール袋 |
| 手順 | ①乾く前にトイレブラシや古歯ブラシなどでこすり落とす ②水に沈んで流れなくなるのが心配な場合は、取り除いてビニール袋に入れて処分 ③一度に取り切れない場合は、ブラシを替えながらこすり取ると効果的 |
バリウムをこすったブラシは、バリウムが付いて取れにくいため、掃除後はそのブラシを処分することになります。
また、使い捨てタイプのブラシや研磨剤の入っていないスポンジたわしも有効です。
固くなった場合は、ぬるま湯を流して軟らかくする

バリウムが便器内や排水トラップに貼り付いている場合は、たっぷりのぬるま湯を流し入れて軟らかくし 、その後の作業ではがしやすくします。
■ぬるま湯で軟らかくする方法
| 準備する道具 | お湯(40〜50℃程度)・バケツ |
| 手順 | ①バケツ1杯程度のお湯を便器に注ぎ込む。熱湯は便器や配管を傷めるため使用NG ②数分置いてバリウムを温めたあと、割りばしやゴム手袋を使ってこそげ取る |
バリウムは冷えると粘性が増すという性質があります。温めて緩めてから除去することで、取れやすくなります。
洗剤は役に立つ?
便器にへばりついたバリウムに対して、洗剤の効果はあまり期待できません。
洗剤で溶かすよりも、物理的にこそげ落とす方が現実的で効果的です。
とはいえ、取れない場合は洗剤を使いたくなることもあるでしょう。
その際は、以下の点に注意してください。
- 強力な洗剤を使う場合は混ぜないこと、塩素系と酸性洗剤を併用すると有毒ガスが発生する危険がある
- 使用時は換気を十分に行い、使用後は水でよく洗い流すこと
バリウムは性質上、洗剤で簡単に溶けるものではありません。
洗剤は、補助的な手段と考えるのがよいでしょう。
バリウムがトイレに詰まってしまったら

バリウムが原因でトイレ詰まりを起こしてしまった場合に、自分で対処する場合は「すっぽん」と呼ばれるラバーカップか真空パイプクリーナーでの詰まり取りです。
これらの道具が用意できない場合や、試しても詰まりが解消しない場合は、水道業者に依頼しましょう。
やってはいけないNG対処法
バリウムが流れずに焦ってやってしまいがちなNG行動と、その理由についてご紹介します。
熱湯を直接かけるのはNG

バリウムを軟らかくするために、熱湯を直接トイレに流すのは絶対にしてはなりません。
便器は陶器製のため、急激な温度変化でひび割れする可能性があります。
ひび割れは水漏れの原因となり、便器の交換が必要になることもあるため、便器に熱湯は絶対に使わないようにしましょう。
トイレにお湯を流す場合は、40〜50℃程度のぬるま湯です。
何度も流して無理に流そうとする
バリウムを流そうとして、何度もレバーを回して水を流すのは危険です。
便器の中に残っているだけではなく、配管内でバリウムが詰まっている場合、水が逆流し便器から水があふれるリスクがあります。
水底に沈んだバリウムは水流だけでは流れず、何回流しても状況が改善しないことがほとんどです。
無理に流そうとせず、まずはこそげ取るなどして、取り除くことを優先しましょう。
強くこすりすぎて便器に傷をつける
バリウムをこそげ取ろうと力任せにこすると、使う道具によっては便器に傷が付きます。
金属製のヘラや金属製のたわし、研磨剤入りのタワシ類は使用NGです。
便器に傷ができると、その部分に汚れや黒ずみがたまりやすくなり、掃除しても落ちにくくなります。
バリウムの除去は、割りばしやトイレ用ブラシでそっとこそげ取りましょう。
水底など、普段意識しない場所も丁寧に扱うことで、トイレ自体を長くきれいに保てます。
バリウムがトイレで詰まらないための予防法
バリウムを便器内に付着させず、スムーズに流すことが最も理想的です。トイレに流す前のひと手間が、面倒なトラブルを防ぐカギになります。具体的な予防法を見ていきましょう。
排便前にトイレットペーパーを敷いておく

バリウムが便器にへばりつくのを予防するためには、排便前にトイレットペーパーを敷き、便器に触れさせずに流してしまうのが有効です。
ペーパーに包まれた状態で流れてくれれば、配管内につくことも予防できます。
■排便時の手順
便器内にトイレットペーパーを敷きますが、水にぬれて溶けることが懸念される場合は、便座の上にたるみを持たせて広げて敷く方法も試してみましょう。
水に解けにくいタイプのトイレットペーパーを大量に使うと、それが詰まりの原因になることもあるので、注意が必要です。
トイレットペーパーでバリウム便を受け止め、排便後はすぐにレバーを引いて流すことがポイントです。
この方法は、流すタイミングが重要です。
うまく流れれば掃除の手間もなく、普段通りにトイレを使えます。
検査後は早めに排出するよう心がける
バリウムは飲んだ際は粘性のある液体ですが、腸内で水分が吸収されると、粘度が増します。
飲んでから時間がたつほど、便が流れにくくなるためできるだけ早く排出することが重要です。
■スムーズに排便するためのポイント
- こまめに水を飲み、腸内の動きを促す
- 医師から下剤を処方された場合は、指示通りに服用
- 便意があればすぐにトイレへ
- 排便がなかった時の対処法を事前に聞いておく
バリウムは体内に長時間とどまると、水分が抜けて石のように固まるため、大きな健康リスクになります。
スピーディーな排出を心がけましょう。
水を多めに飲んで便の排出をスムーズにする
健康診断でバリウムを飲んだあとは、水をしっかり飲み、体内でバリウムが硬くなるのを防ぎましょう。
■スムーズに排便するための水の量
- 検査後はすぐにコップ1〜2杯の水を飲む(300ml以上)
- その後も、コップ1杯程度の水を1時間に1度意識して摂取しましょう
- カフェインやアルコールは利尿作用があるため避ける
十分な水を飲むことで、バリウム便を軟らかく保ち、自然に排出されやすくなります。
外出先や会社トイレより自宅トイレを推奨
バリウム検査後の排便は、自宅トイレで行うのが安心です。
会社や外出先のトイレでは、流れないと対処に困ることがあるためです。
ただし、やむを得ず外出する場合もあるので、その際は事前に対策をしておきましょう。
■外出中にトイレに行きたくなった場合の対策
- 便器にトイレットペーパーを敷く方法を取る
- 携帯トイレの利用も視野に(ドラッグストア・アウトドア用品店・通販サイトで購入可能。臭い対策・凝固剤入り・燃えるごみで処分できるタイプを選ぶ)
万が一、外出先のトイレで詰まらせてしまうと、恥ずかしい思いをすることもあります。
検査後はできるだけ自宅で過ごし、安心して排出できる環境を整えましょう。
バリウムの詰まりが取れないときは業者へ相談
自分で対処してもバリウムの詰まりが解消しない場合は、水道業者に相談がおすすめです。
どのタイミングで依頼を決めるか、業者を選ぶ際の確認ポイントなどを見ていきましょう。
こんなときは業者に任せるのをおすすめ
バリウム詰まりが以下のような状態なら、迷わず業者に相談するのがおすすめです。
- ぬるま湯を入れて割りばしでこそげてもまったく取れない、崩れない
- 水を流すと便器内に水がたまり続け、あふれそうになる
- 見えないところで詰まっているようで、排水音がおかしい・流れが悪い
バリウムは自然に溶けて消えることはありません。
完全に詰まっていなくても、へばりついたバリウムを放置すると、配管内で障害になり他のものも詰まって、流れなくなるケースもあります。
おかしいなと感じたら、早めに専門業者へ相談しましょう。
プロによる対応の流れと安心ポイント
業者に依頼すると、専用の器具を使って、バリウム詰まりを確実に除去してくれます。
便器や配管の内部をチェックし、状況によっては、高圧洗浄で排水管全体をきれいに洗浄することも可能です。
作業により、費用が異なりますので、作業前に見積もりを確認してから、依頼を決定できます。
水道業者に任せると安心な点は、見えない場所までしっかり確認し対応してくれるため、再発防止にもつながることです。
不安や不自由を長引かせず、早めに相談しましょう。
費用の相場と業者選びの注意点

バリウム詰まりの除去費用は、8,800円~16,500円(税込)が相場の目安です。
状況によって追加費用がかかる場合もあるため、事前見積もりをしてもらい、納得できたら依頼しましょう。
以下は業者選びのポイントです。
極端に安い料金の広告に惑わされず、信頼できる業者に依頼することが大切です。
■業者選びの確認ポイント
- 自宅エリアに対応しているか
- 見積もりは無料か
- 出張費、深夜・早朝・休日料金はどうなっているか
- 水道局の指定業者か(サイトに記載があるかではなく、自治体の水道局のリストで業者名、住所、電話番号を確認する)
バリウムがトイレに詰まった時によくある質問
バリウムがトイレに詰まったときは、「どうしよう」と不安になり、さまざまな疑問が浮かぶものです。ここでは、よくある質問にお答えします。
自然に流れるまで放置してもいいの?
バリウムの放置はNGです。
バリウムは水に溶けないため、放置しても自然に流れることはありません。配管内で固まり、詰まってしまう可能性があります。
対処方法は、物理的に取り除くことが基本ですので、こそげ取る、こすり取るなどを試しましょう。
塊で取れる場合は、流さずにナイロン袋に入れて燃えるごみとして処分すると、より安心です。
奥で詰まっている場合は、ラバーカップで吸引し、動かすことで流れることもあります。
洗剤はどれでも使ってOK?
バリウムへの対処は、物理的にこそげ取る・ぬるま湯で緩めるといった方法が基本です。
市販のパイプ用洗剤や詰まり取り用の薬剤では、バリウムに効果が期待できないため注意が必要です。
洗剤を使う場合は、補助的に使うと考えるべきで、洗剤をかけて放置するだけでバリウムが溶けることはありません。
上記を踏まえたうえで、塩素系や酸性の強い洗剤を使うときは【混ぜるな危険】に注意し、洗剤の混合はせずに、換気と洗い流しを忘れずに行いましょう。
安全に対応するためにも、洗剤の過信は禁物です。
配管で詰まったらどうなるの?

バリウムが配管の奥で詰まってしまうと、自力での除去はかなり難しくなりますが、自分で対処する場合は、ラバーカップや真空パイプクリーナーを使って詰まりを取り除きます。
自分での対処が無理だと感じたら、早めに専門の水道業者へ相談しましょう。
業者は状況を確認し、ローポンプ(強力な真空クリーナー)やトーラー(汚れを掻き落とす器具)、高圧水洗浄機などで詰まりを除去します。
早めの対応が被害を最小限に抑えるポイントです。
連絡するのが恥ずかしいのですが
水道業者に依頼する際、「バリウムでトイレを詰まらせた」と伝えるのは、少し言いにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そのお気持ちはよく分かりますが、水道業者は日々さまざまなトラブルに対応しているプロですので、気にする必要はありません。
実際に、バリウム詰まりの相談は珍しくないため、安心して連絡して、理由をお伝えください。
原因が分かっていれば原因に対応した除去方法ができますので、的確で早い対応ができ、作業もスムーズになります。
バリウムが詰まった際は早期解決を優先して、気軽に相談してみましょう。
焦らず正しく対処し、快適なトイレに
「胃透視検査」でバリウムを飲んだ後、トイレに行く際に不安な気持ちを持つ方は少なくありません。そこで、「へばりつきを防ぐ予防法」「便器に貼り付いたバリウムの除去方法」「詰まった際の対処法」の3つの段階の対処方法をご紹介しました。
バリウムを飲んだ後は、何よりもスムーズな排便を心がけることが大切です。
万が一、流れなかったり詰まったりしても、対処法はあります。
自分で対応することもできますし、対応しきれない場合は水道業者に任せることもできるので、安心してトイレを利用しましょう。



