排水つまりは自分で解決できる?排水口・排水管パイプのつまり取りと掃除の手順

排水つまりは自分で解決できる?|排水口・排水管・排水パイプのつまり取りと掃除の手順

キッチンや洗面台、トイレなどの排水つまりは、ある日突然発生し、放置すると完全なつまりや逆流・悪臭など深刻なトラブルにつながるおそれがあります。
実は、軽度のつまりであれば自分で安全に解消できるケースも少なくありません。

この記事では、症状と原因の見極め方から自力でできる対処法、業者に依頼すべきケースや料金相場まで、段階的にわかりやすく解説します。
正しい段取りで、排水トラブルに対応しましょう。

【水回りまめ知識】排水口・排水溝・排水管・排水パイプは別物か?

【水回りまめ知識】排水口・排水溝・排水管・排水パイプは別物か?

排水つまりを自分で解消するにあたり、排水の仕組みと呼び名を再確認しておきましょう。

排水は「排水口 ⇒ 排水管(排水パイプ) ⇒  排水桝 ⇒ 排水管 ⇒ 公共の排水管(下水管)」へと流れていきます。

似たような呼び名が並んでいます。「排水口」「排水管」「排水パイプ」「排水桝」という言葉は、似ているようで指している場所が少しずつ異なります。
また、よく見かける「排水溝」という言葉が見当たらないことに気づいた方もいらっしゃるでしょう。

混同しやすい部分なので、最初に整理しておきましょう。

名称位置・役割補足
排水口排水が流れ込む入口
 ・トラップ・目皿・ゴミ受けなどがある
排水トラップには椀型・筒型・S字など種類がある
排水溝屋外や床にあるU字型の水を流すための溝日常会話では排水全体を指すことも
排水管・排水パイプ排水口から下流へ続く管
 ・床下・壁内・戸外では土中にある
この部分で発生するつまりも多い
排水管給水・排水・ガスなどを運ぶ管の総称給水・排水だけではない

本記事では、排水の流れに沿った「排水口 ⇒ 排水管(排水パイプ) ⇒  排水桝」を使って解説します。

症状と原因の見極め

排水の「つまり」は、症状と原因を早めに見極めることが大切です。
流れの悪化や音・臭いなど、初期サインを見逃さなければ、自力で解消できるケースもあります。
ここでは、よくある症状と原因を整理します。

よくある症状

よくある症状

排水のつまりは、初期に気付くことが早期解決のカギになります。

最初は水の流れが少し悪いだけでも、放置すると悪臭や逆流、水漏れなどのトラブルにつながります。とくに複数の排水口で同時に不具合が出る場合は、屋外の排水管や排水桝に原因があるケースも多く注意が必要です。

よくある症状には、次のようなものがあります。

  • 排水が流れるが遅い、排水口付近にたまる
  • ゴボゴボと音がする(排水管の空気が抜けずに、水中を上がってくる音)
  • 床やシンク下に水漏れ(接続部からの漏れ・破損)
  • キッチン、浴室、トイレなど複数箇所で排水不良が同時発生
  • つまりを繰り返す

こうした症状が見られたら、すぐに対処することが排水つまりを自分で解消できるポイントになります。

場所別主な原因一覧表

場所別主な原因一覧表

排水のつまりは、発生する場所によって原因が異なります。
キッチンの場合は油汚れ、洗面台や浴室の場合は髪の毛や石鹸カス、トイレの場合は紙や異物が主な原因です。
原因によって対処法も異なるため、見極めが重要です。

また、排水管の老朽化や接続不良といった経年劣化も、見落とさずに考える必要があります。

■場所と主な原因の一覧表

場所主な原因(蓄積するもの)特徴・補足
キッチン油・洗剤カス・食材カス・ぬめり油汚れが冷えて固まり、排水内で層を作る
洗面台髪の毛・石鹸カス・ぬめりトラップ内にたまりやすく、悪臭の原因にも
風呂髪の毛・皮脂・石鹸カス・ぬめり髪の毛が絡まり石鹸カスが付着してつまる
トイレ紙・異物・水量の不足・尿石溶けにくい紙はつまりやすい
その他老朽化・サビ・配水管の不具合下流でつまった場合は複数箇所に症状が出ることも

原因を把握できれば、適切な道具や手順を選びやすくなります。

軽度・中度・重度の目安

排水のつまりは、発生箇所と状態によって「軽度」「中度」「重度」に分けられます。
自力で対応できるかどうかの目安にもなるため、水の流れ方や、普段の掃除状況からつまりの程度を考えてみましょう。

  • 軽度:排水口〜トラップ近辺のつまりかけ状態。お湯で改善することもあり、自力解消しやすい。
  • 中度:排水管が付着物で狭くなっている状態。排水口から離れた奥側がつまっていることも。
    ラバーカップやワイヤーブラシ(ワイヤークリーナー)などの道具で対応可能な場合も。
  • 重度:完全につまっている状態、設備内の排水管だけでなく、床下や屋外桝つまりなども考えられる。自力では困難なケースが多い。
軽度・中度・重度の目安

つまりが一時的に解消しても再発する場合、臭気や逆流が発生する場合は、業者へ依頼して根本的なつまり取りが必要です。

【排水つまり解消の共通事項】自分で直す際の準備と基本

排水つまりを自分で解消する際は、すぐに作業を始めるのではなく、必ず事前準備をしてから取り掛かりましょう。
安全や衛生への配慮、そして道具の準備を行うことで、スムーズに作業できます。
 ここでは基本の準備を紹介します。

つまり取りの基本の準備

つまり取りの基本の準備

つまりとりの作業では、水が飛び散ったり汚れが付着したりするため、事前対策が欠かせません。

  • ゴム手袋を着用し、周囲を新聞紙やビニールで養生する
  • バケツや雑巾を準備し、水漏れと飛び散った水の対策をする
  • つまり解消後の確認のための通水は少量から徐々に増やす
  • ディスポーザーは電源をオフに、ウォシュレットは電源コンセントを抜く
  • トイレは止水栓を閉めて、レバーを誤って動かしたときに、水が流れないようにする

余計なトラブルを防ぐために、事前の準備をしっかりしておきましょう。

道具と洗浄剤(表)

道具と洗浄剤(表)

排水つまりを自分で解消するには、原因や場所に合った道具を選ぶ必要があります。
無理に力を入れたり、時間をかけたりするよりも、適切な道具を使った方が効率的かつ安全に作業できます。

道具・洗浄剤特徴・使い方
ラバーカップ排水口を完全に覆い、カップのふちが完全に水に浸かった状態で、押し引きを繰り返し、圧力で汚れを動かす
真空式パイプクリーナー使い方はラバーカップに似ているが、ハンドルの押し引きで強い圧力をかけられる
ワイヤーブラシ・ワイヤークリーナー柔軟なワイヤーの先端につまりを掻き取るコイルなどが付いている
排水管に差し込み、回転させながらつまりを崩す。奥のつまりにも対応できる
市販パイプクリーナー薬剤でぬめりや油汚れを分解
パイプユニッシュなど
60℃程度のお湯キッチンに有効。排水管を温め油汚れを溶かしてつまりを取る
 (熱湯はNG)

ラバーカップや真空式クリーナーは、軽度~中度のつまり解消に効果的です。
基本の道具をそろえておけば、軽度のつまりは自力で解消できるケースが多くなります。

原因別|キッチンの排水つまりを自分で直す方法と手順

自分でつまり取りを行う手順を、キッチンを例に具体的に紹介します。(場所別のつまり解消のポイントは次章以降で解説します)

① 油汚れ・ぬめり・食材カス

キッチンの排水つまりで最も多い原因が、油汚れ・ぬめり・食材カスの蓄積です。
調理中や、食器を洗う際に流れた油(脂)や洗剤カスが排水管に付着して冷えて固まり、そこに細かいゴミが絡みつくことで流れが悪くなります。初期段階であれば、自分で簡単に解消できる場合が多いです。
 2つの方法をご紹介します。

60℃前後のお湯を流す方法
まずは排水口に60℃程度のお湯を流します。
排水管を痛める可能性があるため熱湯はNGです。
何度か繰り返すうちに油が溶け出すため、軽度のつまりならこれだけで改善することもあります。

市販のパイプクリーナーを使う
パイプユニッシュなどの市販薬剤を排水口に注ぎ入れます。
量と放置時間は必ず説明書に従ってください。
排水口や、S字トラップの油やぬめり、細かな汚れを薬剤で分解し、つまりを解消します。
時間が来たら、大量の水を一気に流し、薬剤で解けた汚れを押し流します。

この方法は軽度なつまりに効果的です。
予防のための定期的な掃除にも活用できます。

② 油汚れが層になったもの

油汚れやぬめり、食材カスが長期間蓄積すると、排水管内で層になって固まり、水の通り道を狭くしてしまいます。
この状態になると、物理的な力でつまりを取る方法がつまり解消への近道です。
自分で対応できる代表的な方法を2つ紹介します。

ラバーカップで圧力をかける
排水口に水を溜め、カップのふちがしっかり水に浸かるようにしてから、排水口に押し当てて「ゆっくり押して、素早く引く」を繰り返します。
引くときにつまりが動きやすく、つまりが解消されると手ごたえが軽くなります。

ワイヤーブラシで汚れを崩す
ラバーカップで改善しない場合は、ワイヤーブラシを使って排水管内の汚れを崩します。
先端を排水口に差し込み、慎重に入れていくのがコツです。
つまりに行き当たったら、ハンドルを回して、つまりを掻き取ります。
強く押し込みすぎると排水管を傷つけるおそれがあるため注意が必要です。

これらの方法で、多くの中度のつまりを解消できる可能性があります。

③ 排水トラップ:分解清掃

③ 排水トラップ:分解清掃

排水トラップは、キッチンのつまりの原因になりやすい場所のひとつです。
油や食材カスがたまりやすく、臭気止めのために水が溜まる構造になっているため、汚れもたまりやすい形状です。

ワントラップの掃除
シンクの排水口を覆う目皿やフタを外すと、ワントラップと呼ばれる水たまり構造があります。
パーツを全部外して、ゴム手袋をして内部にたまった汚れやぬめりを取り除きます。
パーツは古歯ブラシやスポンジでこすりぬめりと汚れを取りましょう。
ゴミやぬめりなどのつまりは流さずに、ゴミとして捨てるのがポイントです。
流すと先でつまる可能性があります。

S字トラップの分解清掃
バケツを下に置き水を受ける準備をして、ナットをゆっくり外して排水管を分解します。
排水管内部の汚れを取り除き、水洗いしたあと元に戻します。
作業後は少しずつ水を流して接続部分からの水漏れがないか確認しましょう。

トラップの分解清掃は少し手間がかかりますが、汚れを目視で確認でききれいに掃除ができるため、つまりの再発防止にもつながります。

④ 排水管の奥:ワイヤーブラシ

排水管の奥に汚れや固形物がつまっている場合は、ワイヤーブラシが有効です。
薬剤やラバーカップでは届かない奥の汚れを、直接かき出したり崩したりできるため、中度以上のつまりにも対応できます。
(使い方は、「② ①が層になったもの」を参照してください)

場所別、排水つまりを自分で直す際のポイント

排水つまりは、発生する場所によって原因も効果的な対処法も異なるので、場所や原因により作業の注意点も変わってきます。
ここでは、場所別のポイントを紹介します。

洗面台

洗面台

洗面台の排水つまりは、髪の毛や石鹸カス、ぬめりなどが主な原因です。
コツとポイントをつかめばスムーズに作業できます。

  • ヘアキャッチャーの清掃:髪の毛やゴミを取り除き、流さずゴミ箱へ。
    汚れている場合はブラシでこすって水で洗い流す
  • ラバーカップの注意:オーバーフロー穴をテープでふさぐ(圧力が逃げると効果が出ない)
  • 軽度のつまりにはパイプクリーナー:パイプユニッシュなどで髪の毛やぬめりを溶かしてつまりを解消
  • 異物落下の対処:指輪や歯ブラシなどが落ちた場合は、S字トラップ下にバケツを置き、分解して回収

ポイントを押さえることで、無理なく洗面台のつまりを解消できます。

お風呂

お風呂

お風呂場の排水つまりは、髪の毛や皮脂汚れ、石鹸カスの蓄積が主な原因です。

  • ゴミ受け・トラップの清掃:髪の毛や汚れを取り除く。
    ゴミはこまめに取り除くのがポイント
  • 軽度のつまりには薬剤:パイプクリーナー(パイプユニッシュなど)で簡単に解消できることもある
  • ラバーカップの注意:洗い場の排水口に使う際は、浴槽の排水栓を必ず閉める。
    ラバーカップで解消しない場合は、ワイヤーブラシの使用も検討
  • 臭気・ボコボコ音に注意:悪臭やゴボゴボ音がある場合は、排水口から離れた下流や屋外につまりがある可能性も。

お風呂の排水管では髪の毛が玉のようになってつまることもあります。
悪化しないうちに早めのつまり取りを行いましょう。

トイレ

トイレ

トイレの排水つまりは、キッチンや洗面台と違い「水があふれるリスク」があるため、慎重な対応が必要です。

  • 止水栓または元栓を必ず閉める:誤ってレバーを回しても水が流れないようにしておく
  • ラバーカップの形状:は便器に合ったものを使用(便器のタイプにより、カップの形が違う)
     使用時は「ゆっくり押して、強く引く」のがコツ
  • 固形物や異物を落とした場合:取ろうとして奥へ押し込まない!早めに業者へ依頼

【要注意!】パイプユニッシュなどの薬剤 は、トイレのつまりには効果が薄い

トイレは見えない場所の構造が特殊です。無理な作業は悪化の原因になることもあります。日に何度も使う場所だけに、無理だと感じたら業者への依頼が、早いつまり解消につながります。

排水つまりを自分でする際の注意事項

排水つまりを自分で対処する際は、「注意点」を押さえることが大切です。
以下の5つはとくに注意が必要です。

  1. 熱湯はNG:樹脂製の排水パイプの変形・破損につながる。
    お湯は60℃程度までと覚えておく
  2. 薬剤混合は危険:「混ぜるな危険」にもある通り、塩素系洗剤にアルカリタイプの洗剤やクエン酸が混ざると有害ガスが発生し大変危険
  3. 逆流・水漏れ時はすぐ中断:作業を止めて、水漏れか所を確認。状況に応じて業者につまり取りの依頼。
  4. 解体後は必ず水漏れ確認:トラップなどを分解した場合、元に戻した後は少しずつ水を流し、接続部からの漏れがないか確認
  5. 異物は無理に流さない:固形物やアクセサリーなどは、奥に押し込むとつまりの原因になるため、回収が基本。
    自分で回収できない場合は早めに業者に依頼する

注意を守って安全に作業し、余計なトラブルを防ぎましょう。

業者へ依頼のポイントと料金相場の見方

自分で対処しても改善しない場合は、状況が悪化する前に、早めに業者へ依頼しましょう。
ここでは、業者に依頼すべきケースや料金相場、見積もり時のポイントについて解説します。

業者に依頼すべきサイン

自力での対処で改善しない、あるいは症状が複数箇所に及ぶ場合は、業者への依頼を検討しましょう。複数箇所で同時に排水不良が起きる場合や、強い悪臭・逆流があるときは、排水管の奥や屋外の排水桝のつまりの可能性があります。
また、固形物を流した場合や、築年数による劣化、再発を繰り返すケースも自力での解決が難しいといえます。自分で解消できるつまりと、業者に任せるつまりを見分けることも大切です。

料金相場

排水つまりの解消費用は、つまりの原因や作業内容によって大きく変わります。以下は一般的な目安です。

作業内容料金目安(税込)備考
異物除去4,000円〜 
薬剤洗浄5,000円前後業務用の薬剤で対処
トラップ清掃8,000円〜10,000円位分解・清掃・再組立含む
ローポンプ使用8,000円〜10,000円位強い圧力でつまりを押し流す
トーラー作業15,000円〜25,000円位業務用のワイヤーブラシで排水管内部のつまりを除去
高圧洗浄15,000円〜25,000円位屋外や下流側のつまりに対応
洋式トイレの脱着20,000円〜30,000円トーラー、高圧洗浄作業時に必要

※トイレ側から、トーラーや高圧洗浄作業を行う場合は、通常便器の脱着が必要です。

つまり取りの費用は業者によって料金体系や出張費・夜間料金・部材費などが加算されることがあります。
問い合わせ時に、料金体系を確認し、見積もり時には内訳をしっかり確認しましょう。

自分で行うつまり取りは、原因を見極めて安全重視で

排水つまり解消を自分で行うなら、「気付いたときの早めの対応」が重要です。
まずは原因を見極め、つまりの場所や症状に応じたつまり取りの方法を考えます。
軽度のつまりであればお湯やパイプクリーナーを試し、つまりがひどいと感じた場合は、ラバーカップやワイヤーブラシでつまりを取りましょう。

ただし、逆流や悪臭、再発を繰り返す場合は自分でのつまり解消は難しいといえます。
自分でつまりが取れない場合は、悪化する前に業者に相談がおすすめです。

自分でつまり取りを行う場合は、速やかに状況を正しく判断し、無理のない範囲で行いましょう。
重度のつまりになる前に、ぜひ本記事で解説した方法を試して、つまり解消に挑戦してみましょう。