上下階のトイレが同時に詰まる原因とは?今すぐできる解決法を解説!
住宅を大きく分けると「戸建住宅」と「集合住宅」に分けられます。それぞれ特徴や違いはありますが、その中の一つに「トイレの数の違い」があります。
基本的に集合住宅は「トイレが1つ」です。
それに対し現在の戸建て住宅は1階と2階にトイレがある「トイレ2つ」が基本です。
これは単純に数の違い、利便性の違いと思われがちですが、トイレは2つあると精神的な面で大きなメリットがあります。
では精神的にどう作用するのか?それはトイレが詰まった時です。
集合住宅の場合はトイレが1つしかないので、そのトイレが詰まると用が足せなくなります、一大事ですよね。
人間の排泄行為は生理現象なので、そう待てるものではありません。
とにかく早く直さなければという強迫観念も生まれるでしょう。
それに対し戸建住宅はトイレが2つあるので、1つが詰まってももう1つは使えるということになります、これは大きな安心感となります。
では、1階と2階のトイレが同時に詰まってしまった場合はどうでしょう?
本当にそんなこと起きるの?と思う方もいると思いますが実際、それなりに起きています。
こうなると戸建てに住んでいても一大事となります。
今回はこの上下階のトイレが同時に詰まることについて、その原因や過去の起きたトラブル事例、すぐできる解決法も紹介して行きます。
目次
上下階のトイレが同時に詰まる原因は?
まずは、トイレの詰まりはどこで起こる可能性があるかを見て行きましょう。
トイレの場所 | 詰まり場所① | 詰まり場所② | 詰まり場所③ | 詰まり場所④ |
1階 | 便器内 | 床下排管部 | 外部排管部 | |
2階 | 便器内 | 地上排管部 | 床下排管部 | 外部排管部 |
トイレで流したものが公共の下水管まで流れて行く為には、いくつもの場所を経由して流れて行きます。
戸建住宅の場合、1階のトイレと2階のトイレは同経路でつながっていることがよくあります。
上の表で見れば、詰まり場所①、②は1階も2階もそれぞれの干渉がない場所になります。
しかし、詰まり場所③、④は1階も2階も同じ排管を使っていることが多いです。
言い方を変えれば詰まり場所③、④の場所で、1階と2階のトイレは合流してるということです。
その合流している場所、及びその先で詰まりが発生した場合は1階、2階のトイレで流したものが流れなくなります、要は両方同時に詰まっているという訳です。
また、詰まり場所④の外部に所々設置されている排水設備を「マス」と言います。
排水設備のマスについて
マスは家の周囲を走る下水管の合流地点や曲がり角に設置される点検口です。なぜ、合流地点や曲がり角に設置されるかというと、そこが詰まりやすいからです。
詰まりが起きやすい場所にマスを設置することにより、詰まったとしてもマスからアプローチができる為、つまりの解消がやりやすくなっています。
上下階のトイレが同時に詰まった時は、まずマスをチェックする!
1階のトイレも2階のトイレも詰まっていた時は、同時詰まりの原因と考えられるマスをチェックしましょう!尚、マスは家の周囲に6~8個位、設置されています。
ポイントはトイレに近い場所のマスからチェックするということです。
トイレに近い場所ほど詰まっている可能性は高くなります。
逆に遠くのマスからチェックしてしまうと、とても非効率なのでご注意ください。
マスの蓋を開けるにはマイナスドライバーが必要で、マス蓋の隙間に差し込んで取り外します。正常なマスの状態は中が空っぽになっていて水も何もありません。
それがマス蓋を外した時、マス内に汚物や汚水が溜まっていた場合は、そのマス詰まりがトイレ同時詰まりの原因ということが判明します。
マスのチェックを行わず、闇雲に便器からラバーカップを試しても、マスで詰まっていた場合、改善する可能性は0%です。
上下階のトイレが同時に詰まった時のトラブル事例
上下階のトイレが同時に詰まるというのはそれ程、レアなケースではありません。頻繁に起こるとは言いませんが、それなりに依頼件数のある詰まり症状です。ここでは実際にあった上下階同時トイレつまりのトラブル事例を3つご紹介いたします。
・ケース① マスが隠れていた ・ケース② マスに詰まりが無かった ・ケース③ マスが壊れていた(穴が空いていた) |
それでは一つずつ見て行きましょう。
ケース① マスが隠れていた
「1階のトイレも2階のトイレも詰まって流れなくなった」という依頼があり、現地で状況を確認すると確かに1階2階両方のトイレが詰まっていて流れない状態でした。
マスで詰まっている可能性が高いと思い、家の外周を確認すると「マスが無い!?」、いやそんなことは無いと思いもう一度じっくり確認してもマスが見当たらない状態でした。
依頼者の方にマスはどこにあるかを聞いてみても「わからない」とのこと。
図面があるかも聞いてみたが無いとのことでした。
築年数は20年を超えているお宅でしたが依頼者の方はガーデニングが趣味の様で、新しめの花壇があり、家の周囲には新しめの砂利が敷き詰められていました。
この時点で少し嫌な予感がしました、「もしやマスを埋めてしまっている?」
依頼者の方に聞くと数年前に庭回りを新しくしたとのことでした。
マスが隠れていてマスで詰まっていた場合は、便器側からどんな作業をしても詰まりを解消することはできません、まずはマスを見つけることが最優先になりました。
砂利を退かして、花壇を掘り起こして、ということをすれば時間と費用はかかっても確実に発見できるとは思いましたが、ガーデニングに拘りがあるご依頼者だったので、極力現状を変えない為にマイナスドライバーを地面に突き刺しながらマスを見つけるという方法を行いました。
どうしてそれがマスを見つける方法になるかを言うと、マスの無い場所にマイナスドライバーを差し込むと地中まで差し込めますが、マスの上で差し込もむと途中で「コン、コン」と固い物に当たります。
これで見つけることができます、ただしどこに隠れているのかが分からないので地道な作業となりました。
しばらく続けているとようやく手ごたえがあり、その周囲の砂利と表面を覆っていた土を退かすとマスが出て来ました。
マスの蓋を開けて中を確認すると、やはりマスで詰まっていて、このマス詰まりが原因で上下階のトイレが流れなくなっていました。
マスから電動トーラー作業と高圧洗浄作業を行い、詰まりを抜きました。マスは点検口なので隠してはいけません。
ケース② マスに詰まりが無かった
次のケースもケース①同様、「1階と2階のトイレが詰まって流れない」という依頼でした。
戸建ての築17年とのことで、マス詰まりの可能性が高いと思っていました。
現場に到着し、先ずは1、2階のトイレを確認した所、1階も2階も便器内に水が溜まっている状態だったのでマスを確認することに。
トイレに一番近いマスの蓋を開けて中を確認しました…がなんと、「詰まっていない!?」、「えっ、どうしてっ?」と正直驚きましたが確かにマスに詰まりはありませんでした。
他のマスも全て確認しましたが詰まりはありませんでした。
しかもこのお宅は、1階トイレと2階トイレの排管はマスで合流していた為、合流している場所、及びその先の排管での詰まりは無いということがこの時点で確実になりました。
残る可能性は「1階2階の便器内の詰まりが偶然同時に起こった」か「1階2階の床下排管部の詰まりが偶然同時に起こった」というです。
こうなると便器側からアプローチをするしかありません。
まずは1階のトイレでローポンプ作業を行いました、すると普通に抜けて流れるようになりました。
次に2階のトイレを確認すると水が溜まったままだったので、こちらもローポンプ作業を実施すると無事に流れるようになりました。
最終確認として1、2階のトイレで多めのトイレットペーパーを3回ずつ流しましたが、全てマスに流れて来た為、完全に詰まりが抜けている状態でした。
珍しいケースですが今回は1階と2階の便器内で詰まりが起っていました。
ご依頼者に状況を伝え、もう少し詳しく聞くと厳密には同時に詰まった訳ではなく、「最初に1階のトイレが詰まったが2階にもトイレがあるのでそっちを使っていた、今朝になったら2階も詰まった」とのことでした。
実際、1階と2階のトイレの詰まりには2日間のタイムラグがありました。
ケース③ マスが壊れていた(穴が空いていた)
このケースは1階と2階のトイレが詰まっていて、マスの詰まりである事が判明し、電動トーラーと高圧洗浄で改善したというオーソドックスなケースでした。
しかし、マスの詰まりを抜いてマスの中を確認すると、マスにポッカリと穴が空いていました。
これでは新しく流したトイレットペーパーや排泄物がマスの穴に引っ掛って、またすぐに詰まってしまいます。
最終確認でトイレットペーパーペーパーを流してマスを確認してみると、やはりマスの穴が空いている場所に引っ掛る状態でした。
築年数は35年のお宅だったので、マスも35年使っていて、このマスは限界を迎えていました。
ご依頼者にも、詰まりは抜けたがマスが壊れていること、今回もマスの壊れが原因で詰まりが起ったこと、1ヶ月も経たない内に再発する恐れがあることなどをお伝えし、マスの交換をご提案。
ご依頼者も状況をよくわかってくれていて、「直ぐに交換して欲しい」とのこと。
そのまま作業を始め、少し時間はかかりましたが当日の内にマスの交換をすることが出来ました。
今回紹介したケースは水道業者でなければ改善出来ない専門知識や経験が必要なものでした。
上下階のトイレが同時に詰まった時は水道業者の依頼するのが確実です。
マス詰まりですぐにできる解決法
1階2階のトイレが同時に詰まり、マス詰まりだったという状況の時に自分でできる解決法として、以下の3つの紹介いたします。
※マス詰まりを自分で作業する場合、大量の汚物を目撃したり強烈な臭いが上がって来たりすることがあります。
そのような状況が苦手な方は無理をして作業しないようにしましょう。
水道のホースやバケツで水を流す
マス内の詰まっている所に水分が無く、排泄物やトイレットペーパーが溜まっている場合は水道のホースやバケツで水を流す方法があります。
詰まっている物の量にもよりますが、それほど量が多くなければ水の力で流すことも可能です。
ただし、詰まっている場所に水を流すので、マスから溢れないように注意しながら流しましょう。
また、既にマス内に水が溜まっている場合、この方法は不可です。
状況は変わらず、マスから水が溢れるだけです。
長い棒で軽くほぐす
マスには入口と出口があります、その出口側が詰まるとマス内全部に汚物や汚水が溜まって行きます。
マスが詰まっている場合、長い棒で出口側を軽くほぐすと水の通り道ができて、流れて行くことがあります。
但し、この作業はいくつか注意点があります。
- 重たい棒(バールなどの鉄製の棒)を使うと、マス内に穴を開けたり傷つけたりする恐れがある
- 勢い良く棒を動かすと、マス内に穴を開けたり傷つけたりする恐れがある
- 使用した棒は良く洗ってから保管しないと臭い発生の恐れがある
特に年月の経っているコンクリート製のマスの場合はご注意ください。脆くなっていると少しの衝撃でも穴が空いてしまいます。
この「水を流す方法」と「棒でほぐす方法」は、2つ同時に行うとより効果が高くなります。
木の根で詰まっている場合は取り除く
年月の経っているコンクリート製のマスで良くあるのが、マス内に木の根が入り込んで、その木の根に汚物やトイレットペーパーが絡み、詰まりとなることです。
コンクリート製のマスは全てがコンクリートで、それに接続する下水管は塩ビ管です。
接続はコンクリートマスの穴に塩ビ管が差してあるだけで、接続部を接着している訳ではありません。
年月が経つと石の部分が痩せたり欠けたりして隙間ができ、その隙間から木の根が入り込んで来ます。
マス内は水と汚物が流れる為、植物の成長に必要な水分と養分があります、マスに入り込んだ木の根の成長スピードは早く、あっという間に成長して汚物やトイレットペーパーをせき止めてしまいます。
取り除く方法は、使い捨てのゴム手袋を付けて、直接木の根を引き抜きます。
上手く引き抜けない場合は、ノコギリで切断してから引き抜きます。
一番、衛生的に問題がある作業なので苦手な方は決して無理をせず、業者に依頼しましょう。
まとめ
上下階のトイレが同時に詰まった時の原因は、ほとんどがマス詰まりです。
なので、必ずマスのチェックをする必要があります。
作業事例でも紹介した様にマスは埋めたり隠したりしてはいけません。
マスが見つからないと直ぐに改善出来ないだけでなく、一面を掘り起こしての大掛かりな工事が必要になることもあります。
マスは点検口なので常に開閉できるようにしておきましょう。