【緊急対応】排水管・下水管つまりで溢れた時の対処法と無料になる条件とは?
キッチンやトイレなどが詰まってしまうと使えなくなるので大変です。
ただし普通のつまりはその場所が使えなくなるだけなので、二次被害が起こることは基本的にありません。
つまりは比較的に緊急性の高いトラブルですが、それでも状況によっては緊急に対処しなくてもリスクが高くならないケースがあります、それは例えば、戸建てのトイレつまりでトイレが2つある場合などです、多少不便さはあっても1つが使えれば生活することはできます。
しかし、つまりによって排水管や下水管から排水が溢れて来た場合は二次被害のリスクが生じるので緊急度が急に高くなり、早急な対応が必要になります。
今回はつまりトラブルの中でも、溢れが生じたつまりについて詳しく解説して行きたいと思います。
また、修理代が無料になる可能性がある条件に付いてもご紹介いたします。
なぜ排水管・下水管つまりで溢れが起こる?

それでは「つまり」と「溢れ」について詳しく見て行きましょう。
まず「つまり」について解説して行きますが、つまりは段階ごとに大きく3つに分類出来ます。
- つまりによって管内が密閉されている状態、全く水が流れない(密閉度100%)
水は液体なのでどんな隙間にも入り込んで行きます。しかし、その水が全く流れないつまりは管内が100%完全に密閉されていることになります。トイレのつまりやキッチン・洗面所・お風呂の排水口清掃をした後などに起こることがあります。
トイレは水だけでなく、排泄物やトイレットペーパーといった物を流すので、つまった時は量が多く、密閉度も高くなりやすいです。他の水回りの「掃除をした後に起きる」件ですが、これは排水口の掃除した時に剥がれた汚れが流れて行き、溜まっている汚れに最終的にフタをして完全に詰まらせてしまうことです。 - 管内につまりはあるが密閉状態にはなっておらず、水の流れがある(密閉度50%~90%)
管の半分以上が詰まっている状態です。この段階の特徴は、時間が経てば水は減って行きますが普通に使うと直ぐに水が溜まる為、多少の水の流れはありますが詰まって使用できないレベルになります。 - 管内につまりはあるが少量で、水の流れがある(密閉度20%~49%)
管のつまりが半分以下の場合です。この段階の特徴は大量に流すと水は溜まるが、水量を抑えれば溜まることなく使用できるレベルになります。また大量に流して一度溜まった水もすぐに流れて行きます。
※密閉度19%以下はほとんどつまりの自覚症状が無いでしょう。
それでは次に「溢れ」について解説して行きます。
溢れが起こる状況は、下記のどちらかで起こります。
- つまりによって管内が密閉されている状態、全く水が流れない(密閉度100%)
- 管内につまりはあるが密閉状態にはなっておらず、水の流れがある(密閉度50%~90%)
なので、③のレベルで溢れになることはほとんどありません。
溢れは「完全に密閉している所に水を流した時」と「流れる排水量より足される排水量の方が多い時」に起こります。しかし流していて溢れてきたら普通、流すのを止めますよね。
溢れてもすぐに水を止めれば大量に溢れることはなく、大きな被害にはならないはずです。
しかし、大量に溢れてしまうケースもあります。
これには場所が大きく関係しています。
それでは場所毎につまりによる溢れが起きた時の症状やリスクを見て行きましょう。
| 場所 | 症状 | リスク、二次被害 |
| トイレ | 便器から水が溢れて床に漏れる | ・タンクの水は大量で、一度流れると止められない為、大量に床へ水漏れすることもある。 ・大量に床へ漏れると下階天井から漏れるリスクもある。 |
| キッチン | 床下排水管と蛇腹ホースの接続部から水が溢れて床に漏れる | ・床下排水管と蛇腹ホースの接続部はシンク下の棚内にあるので、溢れても気付きにくい。 ・シンク下で詰まって溢れていても、シンク内の水は無くなるのでつまりに気付かないこともある。 ・気付きにくい分、漏水量も多くなり、下階に漏れると被害は大きい。 ・発生件数が多い。 |
| 洗面所 | 床下排水管とトラップパイプの接続部から水が溢れて床に漏れる | ・床下排水管とトラップパイプの接続部は洗面台の棚内にあるので、溢れても気付きにくい。 ・リスクや二次被害はキッチンと似ているが、キッチンと比べて発生件数が少ないので総合的に見るとリスクは低い。 |
| お風呂 | 排水口から溢れて洗い場に水が溜まる | ・浴槽で流した水や洗い場で流した水が流れずに排水口から逆流してくる。 ・下階に漏れたり脱衣所の床に漏れたりすることはないので、二次被害はなくリスクも低い。 |
| 洗濯場 | 排水口から溢れて防水パンに水が溜まる 防水パンが無い場合は床に漏れる | ・防水パンに水が溜まる分には二次被害はなくリスクも低い。 ・防水パンが無い場合は直に床へ水漏れするので、漏水量も多く、下階に漏れると被害は大きい。 ・洗濯機がつまりを感知するとエラーコードが出て排水を止めるケースが多い。 |
この中で発生頻度、溢れの状況など総合的に見ると、リスクが高いのはトイレとキッチンです。
排水が溢れた時の対処法やつまりの注意点

溢れが起きるつまりは重症なケースが多く、DIYでは直せないことも良くあります。
ただし、直せないからと言ってできる事が何もないわけではありません。
ここでは被害拡大の防止を目的とした居住者が行なうべき対処法をご紹介します。
以下をご覧ください。
- 新たな水を流さない
溢れている所に水を流すことは無いと思いますが、気を付けたいのが先項目②の「管内につまりはあるが密閉状態にはなっておらず、水の流れがある(密閉度50%~90%)」という状態です。
この状態は時間が経てば水が引くので、つい水を流してしまいがちです。
ただし流しても溢れて来る可能性が高いので、一旦水は流さないようにしましょう。 - 動画を撮り、溢れた水は早めに拭き取る
「水道業者が来るまではそのままにしておいた方が良い」と思っている方も多いと思います。
これはある意味正解で、水道業者にしてみても溢れた状況がわからないと困ってしまいます。
しかし、水道業者はいつ来てくれるか分かりません、30分後か1時間後か6時間後か翌日か…。
溢れた水をそのままにしているのはリスクがあり、時間が経てば経つほど床や下階の天井を痛めて行きます。
そこで、スマホで30秒から1分位、溢れた場所の動画を撮り、動画を撮ったら溢れた水は早めに拭き取りましょう。
そうすれば建物へのダメージも最小限で済み、動画を見せれば水道業者も状況が良くわかります。
これらの対処法をするのとしないのとでは建物へ加わるダメージが大きく変わります。
そしてダメージが大きければ大きい程、修理に掛かる費用も高くなります。
出費を抑える為にも必要なことなので、ぜひ実践してみてください。
つまりが原因で排水溢れが起こった現場での作業事例

つまりで溢れが起きていた現場の作業事例を2つご紹介いたします。
ケース① キッチンの床下排水管から漏れた原因は油汚れとダブルトラップ
「キッチンの床から水漏れする」というご依頼でした。
居住者様も原因は分からず、ただキッチン前の床が濡れているとのことでした。
現場でシンク下を確認すると、床下排水管のつまりが原因で溢れていたことが判明。
シンクは排水栓にトラップがあり、外のマスを確認したところ、マスにもトラップがあるというダブルトラップになっていました。
ダブルトラップは流れが悪くなるのでつまりが起りやすい状態になります。
ちなみにダブルトラップになってしまった理由は、元々とトラップマスでシンク側にトラップは無かったが、シンクをリフォームした時、排水栓タイプでシンク側にもトラップが出来たという経緯でした。
ただシンクのリフォーム業者も把握していなかったようで居住者様も初耳とのことでした。
まず、つまりの原因となっていた油汚れを電動トーラーと高圧洗浄で取り除きました。
そして、ダブルトラップのままだと早めに再発する恐れがあったので、マスからトラップ機能を取り外し、ダブルトラップも解消しました。
ケース② トイレがつまり溢れた原因は流してはいけない物

「トイレが詰まって水が溢れて来る」というご依頼でした。
戸建ての現場で2階のトイレつまりでした。
2階トイレは溢れた水で床が水浸し、また1階トイレの天井からも漏れていました。
居住者様に原因の心当たりを聞いたが分からないとのこと。
床が水浸しになっていて、便器の下にも水が入り込んでいる為、どのみち便器の脱着が必要な状況。
居住者様に便器脱着作業の必要性と見積りを提示し、了承いただき作業開始しました。
まずは床の水を全て拭き取ります、次にタンクと便器を取り外ししました。
便器を外したところ、排水アジャスターの所に尿漏れパッドが詰まっていました。
尿漏れバッドは水を含んでパンパンになり、排水の通り道を完全に塞いでいました。
尿漏れパッドを取り除き、排水アジャスター周辺の水も拭き取り、少し乾燥の為に時間を空けることに。30分ほどして便器とタンクを取り付け、水を流して水漏れチェック、1階天井からの漏れも収まっていました。
水が溢れてすぐに連絡いただいたようで、天井や床も特に傷んでいる感じはありませんでした。
居住者様も「とりあえず様子を見て、何かあったらまたお願いします」とのことでした。
排水管・下水管のつまり解消が無料になる条件

つまりの解消が無料になるのは基本的に「自分で直す」ということですが、溢れが起きるようなつまりは重症のケースが多いです。なので多くの場合、自分で直すのは困難になります。しかしその中でも無料になる可能性がある条件をご紹介いたします。
| 条件① トイレのトイレットペーパーつまり 条件② 雑排水管である程度流量のあるつまり 条件③ 他の工事と一緒に行う |
条件①の「トイレのトイレットペーパーつまり」ですが、これはスッポンや真空式パイプクリーナーで解消できる可能性があります。工具を持っていればこれで解消できた場合、無料ということになります。
ただし溢れて床に水漏れした場合は便器と床の間に水が入り込むので、便器を脱着して水を拭き取らないとカビの発生や床の傷み、クッションフロアの剥がれ等に繋がる恐れがあります。
溢れた水が壁まで流れるほどの量であれば水道業者に頼んだ方が良いでしょう。
溢れた水が少量で、自分でつまりを解消できた場合は様子を見て良いと思います。
条件②の「雑排水管である程度流量のあるつまり」は先項目③の「管内につまりはあるが少量で、水の流れがある(密閉度20%~49%)」と言う状態です。
対処法で一旦水は流さないと解説しましたが、ここではつまり解消方法をご紹介します。
ちなみに雑排水管とはキッチン、洗面所、お風呂、洗濯場の排水管のことを言います。
解消方法は「溢れない水量で60℃のお湯を15分間流す」という方法です。
60℃のお湯は油を溶かし、汚れを柔らかくします。15分間流し続けることによってお湯が通っている周りのつまりを溶かし、柔らかくしてつまりの穴を広げて行きます。
ちなみに②の「管内につまりはあるが密閉状態にはなっておらず、水の流れがある(密閉度50%~90%)」という状態でも行なえる場合もあります。
ここのポイントは溢れない水量に調整することと給湯器が作動する水量であることです。
溢れない水量に調整する時は少量から始め、水は溜まっても溢れない所の水量を見極めましょう。
給湯器が作動する水量に関しては、あまり少量だと給湯器が感知せず、お湯になりません。
溢れない所に調整した水量がお湯にならない水量だった場合は、この方法は不可と言うことになります。
③であればほとんど大丈夫ですが、②の場合はお湯にならないことも考えられます。
条件③の「他の工事と一緒に行う」は複数の作業を依頼する場合にサービスしてもらえないか交渉することです、この作業があるからこのつまりをサービスしてもらえないか?という感じです。
例えば元々古く、トイレの交換を考えていた所に「トイレつまり、溢れ」という水トラブルが起きたとします、水道業者はつまり改善の見積りを提示してくるでしょう、中には古いのでトイレ交換をした方が良いですよとトイレ交換の見積りを提示してくる業者もいるでしょう。
「つまりの作業代をサービスしてくれるならトイレの交換をする」というような交渉をすることによって無料でつまりを直せることがあります。
また、この例の内容であれば高確率で無料になるでしょう。
何故なら溢れのあったつまりの解消もトイレ交換も、トイレを取り外すことは同じだからです。
何か物を取り付ける場合は品物代がかかる為、無料になることは無いと思いますが、つまりの解消は作業料のみなので複数の作業と抱き合わせることによって無料になることがあります。
全てのつまり状況に対応している訳ではありませんが、条件に当てはまる場合は実践してみてはいかがでしょうか?
まとめ
つまりは溢れが起こると二次被害のリスクが生じる為、緊急度は急激に高くなります。
溢れて来るようなつまりは重症のケースが多く、溢れてしまった場合は溢れた状態を動画に撮り、溢れた水を拭き、早めに水道業者に連絡することが大事です。
しかし状況によっては無料で解消できる場合もあるので「トイレのトイレットペーパーつまり」「雑排水管である程度流量のあるつまり」「他の工事と一緒に行う」という条件に当てはまる場合は、今回ご紹介した方法を試してみてください。



