【初心者OK】混合水栓の水漏れはパッキン交換で直る?修理手順を解説
蛇口の水漏れが起きた時に「少量の水漏れであれば様子を見る」という人もいるのではないでしょうか?例えば「30秒に1適、60秒に1適漏れる」という様な、水漏れしているのかしていないのかわからないレベルであれば様子見という選択も良いかもしれません。
しかし水漏れは蛇口が故障している状態なので、様子を見ていても直ることはありません、時間経過と共に症状は悪化します。給水の圧力は強く、その強い圧力に栓をして止めているのが蛇口です。
水圧の強さ故に、いつ急激に悪化するかもわかりません。
例えば「トイレ便器内にチョロチョロ水漏れ」と「蛇口の先端からチョロチョロ水漏れ」という2つの水漏れ症状があったとします。
トイレタンクから便器へチョロチョロと水漏れしている場合、壊れている部品にかかっている水圧はタンク内の水だけなので大したことはありません、しかし蛇口の場合はその何倍もの強い水圧が壊れている部品にかかっている為、急に悪化してもおかしくありません。
なので蛇口の水漏れは早めに対処しておくことがベストです。
それでは水漏れを発見した時に、一番早く修理が出来るのは誰でしょう。
各地に支店が何店舗もある大手水道業者?それとも地域の水道業者?そのどちらも違います、一番早いのは自分で直すことです。
ただし水漏れの修理は「知識」「技術」「道具」「工具」が無ければ出来ません。
今回は修理初心者でも対応しやすい、混合水栓のパッキン交換について詳しく解説して行きます。
目次
初心者が混合水栓の水漏れ修理をする時の心構え
まずは初心者が水漏れ修理をする時の心構えを説明いたします。
意識することはいろいろとあると思いますが、今回は特に大事に3つの心構えについて見て行きましょう。
・無理をしない ・チェックをよくする ・手順を守る |
先ずは「無理をしない」ことです。どんなに簡単と思われる修理でも状況次第ではうまく進まないことがあります。修理の中で特に注意が必要なのは「固い」場合です。
これは「外そうとしている場所が固着して外せない場合」、「外そうと動かしている方向が逆の場合」などがあります。水漏れが起こっているということはそれなりに年数の経った蛇口です。
新品の蛇口なら耐久性も強いので多少の無理は問題ありませんが、年数の経っている蛇口で無理をすると蛇口を破損させてしまうことがあります。
特に初心者であれば力の加減もよくわからないと思いますので、「固い」と思ったら作業をストップして水道業者に依頼するようにしましょう。
次の「チェックをよくする」というは確実に一つひとつを確認しながら進めて行くということです。
「水はちゃんと止水したか」「ネジを回す方向は合っているか」「新しい部品はちゃんとセットされているか」等。
水道修理で一番大事なのは確実性です。
時には何回も確認することがあります。
この確実性が怪しくなるのは「焦って修理をした時」や「修理を早く終わらせようとした時」です、要は修理に「速さ」を意識してしまった場合です。
水道の修理は速く行うものではありません、一つひとつを確実に行うことが何より大事です。
特に初心者であれば、しつこいくらいにチェックする方が安心度も高くなります。
最後の「手順を守る」というのは「作業の順番を守る」ということです。
水道の修理は、時には効率が悪いような順番で進むこともあります。
ただしそれは意味があってその順番になっているので、勝手に順番を変えないようにしましょう。
「この方が効率良い」と思って順番を変えても、逆に余計時間がかかってしまったということは良くあります。
この3つの心構えはもちろん、慣れている人にも当てはまることです。
この中のどれかが抜けると「水道修理したことがトラブルになる」という本末転倒の結果になりかねないのでご注意ください。
混合水栓のパッキン交換で直る水漏れ症状
混合水栓の水漏れが起きた時にパッキン交換で直る水漏れ症状、そして対象の混合水栓と場所を見て行きましょう。
パッキン名 | 水漏れ症状 | 対象混合水栓 | 対象場所 |
コマパッキン(ケレップ)※ | スパウトの先端から水漏れ | 2ハンドル混合水栓(壁付、台付) | キッチン、洗面所、浴室、洗濯場 |
三角パッキン | ハンドル下のカバーナットから水漏れ | 2ハンドル混合水栓(壁付、台付) | キッチン、洗面所、浴室、洗濯場 |
Uパッキン | スパウト根元から水漏れ | 2ハンドル混合水栓(壁付、台付)、シングルレバー混合水栓(壁付) | キッチン、洗面所、浴室、洗濯場 |
偏心管パッキン | 蛇口本体と偏心管の接続部から水漏れ | 2ハンドル混合水栓(壁付)、シングルレバー混合水栓(壁付) | キッチン、洗面所、浴室、洗濯場 |
Xパッキン | 水栓本体回転部から水漏れ | シングルレバー混合水栓(台付) | キッチン |
※ケレップはコマパッキンの正式名称です。どちらの名称を使ってもOKですが、ケレップ=コマパッキンということは知っておきましょう。
混合水栓のパッキン交換時に起きた作業トラブルの事例
水漏れ修理としては簡単な作業であるパッキン交換、しかしパッキン交換作業のはずが意外な理由で違う作業になった事例を2つご紹介します。
ケース① 先端からの水漏れでコマパッキンを交換しても直らない!?
「キッチン蛇口の先端から水漏れしている」という依頼がありました。
訪問して確認するとキッチン台付2ハンドル混合水栓のスパウト先端からの水漏れ。
かなり古そうだったので使用年数を聞くと35年とのこと。
症状から見るにコマパッキンの劣化だと思い、コマパッキン交換を実施しました、ところが新しいコマパッキンに交換しても水漏れが直りませんでした。
取り出した古いコマパッキンを見てみるとそれ程劣化していない状態、どう見ても使用5、6年といった感じ。
お客様に詳しく聞くと、3、4年前に水漏れが起きて水道業者に直してもらったことがある、その時にどんな修理をしたかは覚えていないとのこと。
取り出したコマパッキンを見れば、その時交換したコマパッキンで間違いないと感じました。
再度蛇口を分解してよく観察してみると本体内部水側のネジ山が摩耗して山がかなり小さくなっていました。
そしてこのネジ山の隙間が大きくなっていた為、ハンドルを閉めてスピンドルがコマパッキンを押し込んでも、その隙間分押し込み切れない状態でした。
こうなると原因は蛇口本体の経年劣化です、お客様にも状況を説明し、蛇口交換の了承をいただいたので、そのまま蛇口本体の交換を行いました。
ケース② ハンドル固定ネジのネジ山が舐めてしまっていてハンドルが外れない
「ハンドル下から水漏れする」という依頼がありました。訪問し状況を確認、蛇口はキッチンの壁付2ハンドル混合水栓で水側のハンドル下からポタポタ水が垂れていました。
症状的には三角パッキンの劣化と思いましたが、念の為ハンドルを取り外して直接目視で確認することにしました。
ハンドルのカラーキャップを取り外し、ハンドル固定ネジを外す為にプラスドライバーを準備。
すると、あれ…、引っ掛からない…。
おかしいと思い、ドライバーを引き抜き、ライトで照らしてネジを確認すると「ネジ山が舐めている!?」、もちろん自分はネジ山の引っ掛かりを探していた状態だったので力も入れていなく、ネジ山を舐めることはありませんでした。
大変なのがハンドルを外せないと2ハンドル混合水栓の多くの修理が出来なくなってしまうことです。
こうなると本来、蛇口本体の交換をするしかないが、お客様の要望としては「お金がかかるので蛇口交換はしたくない、なんとかこの蛇口で修理して欲しい」とのこと。
お客様の要望に沿えるよう考えた結果、ハンドルのネジを切って新しい水栓上部(ハンドル・スピンドル・コマパッキンの総称)に交換するという方法でした。
グラインダーという高速で円形の刃が回転する工具でネジを切りました。
そしてカバーナットを外し、スピンドルとコマパッキンを外して新しい水栓上部に交換、無事に部品交換で水漏れを改善することが出来ました。
ネジ山が舐めていた件についてお客様に聞くと、「自分で直そうとした時に舐めてしまったと思う」とのことでした。
正直、両ケースとも初心者では直せないケースです、ケース①のコマパッキンを交換しても水漏れが直らない、ケース②のネジ山が舐めていて外せないといった場合は作業を中断し、水道業者に依頼するのが「無理をしない」ということです。
初心者の為の水漏れ修理で必要な物(混合水栓パッキン交換修理)
初心者の場合は道具や工具を準備することが最初のステップです。
混合水栓のパッキン交換修理に必要な物を紹介して行きます。
準備する物(道具編)
混合水栓のパッキン交換修理に必要な道具は以下の通りです。
道具 | 用途 |
使い捨てゴム手袋 | 水漏れの修理は手が汚れます。必ずゴム手袋を装着して作業しましょう。 |
タオル、雑巾 | 水に濡れた場所を拭く時に妻います。1枚だけでなく複数枚あった方がいいです。 |
バケツ | 中に水を入れて手を洗ったり、タオルや雑巾を濯いだりして使用します。 |
ゴミ袋 | 作業中に出たゴミを入れる袋です。コンビニの袋位が丁度良い大きさです。 |
ライト | 作業スペースが暗い時に使用します。また、蛇口内を確認する時にも使用します。 |
洗って使う様なゴム手袋もありますが、厚みがあるので作業しにくく、水漏れの修理には向いていません。
ライトはスマホのライトでも大丈夫ですが、作業に使うと汚れた手でスマホを触るので、スマホが汚れる恐れもあります。
準備する物(工具編)
混合水栓のパッキン交換修理に必要な工具は以下の通りです。
工具 | 用途 |
プラスドライバー | ハンドル固定ネジの取り外しと取り付けに使います。 |
マイナスドライバー | 止水栓の開閉や、隙間に差し込んで対象物を取り外す時に使います。 |
モンキーレンチ | 水栓カバーナット、スパウトカバーナット、偏心管ナットの取り外しと取り付けに使います。 |
ウォーターポンププライヤー | 挟んで使用します。モンキーレンチが合わない場所に重宝します。 |
ラジオペンチ | 蛇口内のコマパッキンの取り外し、取り付けに使用します。 |
プラスドライバーは棒の部分が短い物を避けましょう、ハンドル固定ネジは奥まった場所にあります。ドライバーが短いと届きませんのでご注意ください。
モンキーレンチは柄の部分が長いと作業しにくいので、手の平に収まる位の柄の物が水漏れ修理に向いています。
ウォーターポンププライヤーは挟む部分の内側がギザギザになっている物を選びましょう、ハンドル混合水栓のカバーナットには円形で回りがギザギザしたものもあります。
これは挟む部分がギザギザになっているウォーターポンププライヤーでないと取り外し取り付けが出来ません。
ラジオペンチはコマパッキンを取り外し、取り付け時のみ使用するので、ピンセットでも構いません。
初心者でもできる混合水栓パッキン交換手順
初心者にもできる混合水栓のパッキン交換手順を説明して行きますが、ここでは「コマパッキン」「三角パッキン」「Uパッキン」「偏心管パッキン」の4つを紹介いたします。
※水回りの接続ナットや止水栓は基本的に、時計回りに動かすと「閉める」「締める」となり、反時計回りに動かすと「開く」「緩める」となります。
コマパッキン交換手順(三角パッキン交換含む)
- 止水栓を閉める
マイナスドライバーか手で止水栓を閉めます。
閉めた後はハンドルを回し、水が止まっているかの確認もしましょう。 - カラーキャップを取り外す
マイナスドライバーの先端をカラーキャップの隙間に引っ掛けて取り外します。 - ハンドル固定ネジを取り外す
プラスドライバーでネジを外しますが、ネジ山を舐めてしまわない様に気を付けながら回しましょう。ネジが取れたらハンドルを引き抜きます。 - カバーナットを取り外す
モンキーレンチでカバーナットを取り外します。
※三角パッキンの交換はここで三角パッキンを交換する
マイナスドライバーの先端を三角パッキンの下に差し込んで取り外します。
ワッシャー(金属の輪)がある場合はワッシャーも取り外します。
新しい三角パッキン、ワッシャーを取り付けたら「9.ハンドルを取り付ける」に移ります。 - スピンドルを取り外す
ハンドルをもう一度スピンドルにはめて回し、スピンドルを取り外します。 - コマパッキンを取り外す
ラジオペンチで蛇口の中にあるコマパッキンを取り除きます。 - 新しいコマパッキンを取り付ける
ラジオペンチで蛇口の真ん中に新しいコマパッキンをセットします。 - スピンドルとカバーナットを取り付ける
スピンドルを手で回して取り付け、モンキーレンチでカバーナットを締めます。
この時に締め過ぎると使う時のハンドルが固くなるので要注意です。
動かなくなるまで閉めるのではなく、少し遊びのある状態にしておきましょう。 - ハンドルを取り付ける
ハンドルをスピンドルにはめて、プラスドライバーで固定ネジを取り付け、最後にカラーキャップをはめ込みます。 - 止水栓を開く
止水栓を開いたら水の出し止めを何度か行って、水漏れしていないか、ハンドルは重たくないか、をチェックしましょう。
問題なければ修理完了です。
Uパッキン交換手順
- ハンドルが閉まっていることを確認する
※Uパッキンは止水栓や元栓を閉めなくても交換できます - スパウトカバーナットを取り外す
モンキーレンチでスパウトカバーナットを取り外します。
ナットが外せたらスパウトを引き抜きましょう。 - Uパッキンを取り外す
マイナスドライバーの先端を引っ掛けてUパッキンを取り外します。 - 新しいUパッキンを取り付ける
スパウトに新しいUパッキンを取り付けます。
Uパッキンには上下があるので向きに気を付けましょう、溝がある方を水栓本体側に向くようにセットします。 - スパウトを取り付ける
スパウトを水栓本体に差し込んで、カバーナットを回します。
最初は手で回し、最後にモンキーレンチで締めます。
交換が完了したら水を流しながらスパウトを左右に動かし、水漏れしていないか、スパウトは固くないか、をチェックします。
問題なければ修理完了です。
偏心管パッキン交換手順
- 偏心管の止水栓を閉める
マイナスドライバーで偏心管の止水栓を閉めます。
閉めた後はハンドルやレバーを動かし、水が止まっているかを確認しましょう。 - 偏心管ナットを回し、水栓本体を取り外す
モンキーレンチで偏心管ナットを回して水栓本体を取り外します。
コツは、両方のナットを少しずつ回して行くとスムーズに取り外せます。 - 偏心管パッキンを取り外す
偏心管パッキンは水栓本体を取り外した時に落ちてくることが多いですが、貼り付いている場合はマイナスドライバーの先端を引っ掛けて取り除きましょう。 - 新しい偏心管パッキンを取り付ける
新しい偏心管パッキンをセットします。 - 水栓本体を取り付ける
セットした偏心管パッキンが落ちて来ない様に気を付けながらナットを回して行きます。
最初は手で回し、最後はモンキーレンチで締めます。 - 偏心管の止水栓を開く
止水栓を開き、蛇口の水も出しましょう。
水漏れしていないかをチェックします。
問題なければ修理完了です。
まとめ
混合水栓のパッキン交換は水漏れ修理の中で簡単なレベルの修理です。
必要な道具、工具があり、作業手順、注意点をしっかりと分かっていればきっと修理出来るでしょう。
ただし、水漏れの修理はどんなに簡単な修理でも、心構えを忘れないようにしてください。
舐めてかかると痛い目にあいますし、痛い目にあってからでは取り返しのつかないこともありますので、自分で修理する場合はくれぐれも慎重に行うようにしましょう。