水を止める方法を解説！蛇口と場所別の応急処置と止水栓・元栓の操作法

突然の水漏れや蛇口トラブルで、止まらない水に直面すると焦ってしまい、水の止め方が浮かばないかもしれません。
しかし、「水を止める」ことは最優先です。蛇口の操作で水が止まらない場合でも、止水栓や元栓を閉めれば、水が止まり被害を最小限に抑えられます。

この記事では、トイレやキッチンなど場所ごとの水の止め方や、止水栓が固い場合の対処法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
「水を止める」知識は、家庭内での水まわりの被害を防ぐ第一歩です。

まず知っておきたい「水を止める」基本

水まわりのトラブルが発生したときに、最初にやるべきことは「水を止める」ことです。

ここでの「水を止める」は、給水を一時的に遮断して水の流れを止めるという意味です。
水が出続けたまま放っておくと、床や壁への水漏れ被害が広がり、蛇口の修理だけでなく家の修理費用まで必要になることがあります。
また、水が出しっぱなしだと、水道料金も高くなる可能性があるため注意が必要です。

まずは、水を止める方法を2種類知っておきましょう。

• 水道の元栓を閉める：家全体の給水が止まる
• 各水まわり設備の止水栓を閉める：トイレ・キッチンなど部分的に止める

家全体の水を止めたいときは「元栓」、特定の場所だけ水を止めたいときは「止水栓」を閉めるのが基本的な対処法です。

元栓や止水栓は、水道のトラブルだけでなく、家の中の水道工事や水栓の取り替えなど修理時にも閉めて、水が出ないようにします。また、旅行や引っ越しなど、長期の不在時には元栓と止水栓を閉めます。
これは、水漏れが発生した際に、発見が遅れて被害が拡大するのを防ぐためです。

しかし、水漏れなどの緊急時や修理作業時になると、「どこにあるかわからない」「固くて回らない」と慌ててしまうことも少なくありません。

元栓も止水栓も設置場所は建物や設備によって異なります。

万が一の際にも落ち着いて対応できるよう、普段から自宅の元栓や止水栓の正確な位置を確認しておきましょう。
あわせて、元栓や止水栓がスムーズに回せるかも確認し、「水を止めるポイント」として家族で情報を共有しておくと、万が一の際にも安心です。

■元栓と止水栓を閉めるとすればどちらが先？
元栓と止水栓の両方を閉めるとき（引っ越しなど）は、まず元栓を閉めてから止水栓を閉めるのが安全な順序です。元栓を先に閉めることで、水圧を抑えて止水栓をスムーズに回せます。

元栓と止水栓の違いを理解しよう

水をうまく止めるには「元栓」と「止水栓」の役割を正しく理解することが大切です。
どちらを操作するかで対応範囲や手順が変わるため、まずはそれぞれの特徴と使い分け方を見ていきましょう。

元栓とは？

元栓とは、家全体への給水を完全に止めることができるバルブ（※）です。
水道メーターのすぐ横に設置されており、ここを閉めることで自宅全体への水の流れを止めることができます。
（※バルブとは液体や気体を、流したり止めたりする機器のこと。元栓や止水栓は、閉めると水の流れが止まるためバルブにあたります。）

主な特徴は以下のとおりです。

設置場所	戸建て住宅 → 屋外のメーターボックス内 マンション → 玄関横のパイプスペース内 など
開閉方法	時計回りに回すと水が止まり、反時計回りで水が出る
役割	公共の水道管から自宅へ送られる水を一括で制御
使用する場面	止水栓では水が止まらない場合、止水栓がない蛇口の水を止めるとき 漏水など緊急時、水まわりの修理時 長期不在にする前
注意点	締めると家全体の水が止まる

普段はあまり開け閉めすることのない元栓ですが、万が一に備えて、設置場所や回し方を確認しておきましょう。

止水栓とは？

止水栓とは、トイレやキッチン、洗面台など設備ごとに設けられた給水用のバルブです。止水栓の先にある設備だけ水を止めたいときに使い、家全体の水を止める元栓とは役割が異なります。

主な特徴は以下のとおりです。

設置場所	各水まわり設備に給水している配管と設備の配管の接続部分
開閉方法	時計回りに回すと水が止まり、反時計回りで水が出る
役割	キッチンやトイレなど特定の箇所の給水を操作できる
使用する場面	設備の修理・交換時、漏水の応急処置時
注意点	止水栓がない設備もある

止水栓を閉めれば、家全体に影響を与えずに設備単位でのメンテナンスができます。水を止めるだけでなく、吐水口からの水の勢いを調節する場合にも操作します。

止水栓の種類

設備ごとに設けられている止水栓には、「ハンドル式」「外ネジタイプ」「内ネジタイプ」の3種類があります。
これらの特徴を一覧にまとめました。

種類	回し方	特徴
ハンドル式	手で回す	蛇口のようなハンドルで回しやすい
外ネジタイプ	マイナスドライバーで回す	開閉で回す部分が、外へ突き出た形。
内ネジタイプ	マイナスドライバーで回す	開閉するネジが内側にあるため、マイナスドライバーのサイズに注意が必要

どの止水栓が使われているかは、設備によって異なります。
止水栓の場所と合わせて、ドライバーの保管場所も確認しておくことも重要です。

水漏れの水を止めるときどちらを操作すべき？

水を止めるときは、トラブルの発生場所や規模によって「止水栓」か「元栓」かを使い分けることが大切です。

状況	操作するバルブ	理由
トイレ・キッチンなど設備単位の漏水	止水栓	特定の設備だけ止められるため、他の場所はそのまま使用可能
洗濯機の蛇口や庭の立水栓からの水漏れ	元栓	止水栓がないため元栓を閉める。家全体の水が止まる
給水管の破損や水道メーター付近の漏水	元栓	家全体の水を止めないと被害拡大の恐れがある
止水栓が固着して回らないとき	元栓 → 止水栓	家全体の水が止まる

基本的に、設備の水漏れや修理作業なら止水栓、家全体に関わるトラブルや止水栓が閉められないときは、元栓を操作します。
状況を冷静に判断し、適切なバルブを閉めましょう。

【場所別】水を止める方法

トイレやキッチンなど設備ごとに止水栓の位置は異なります。
設備の場所別に水を止める手順をわかりやすく解説します。

トイレの水を止める

トイレの水漏れやタンクまわりの修理を行うときは、止水栓を閉めて水を止めるのが基本です。
トイレの止水栓は、タンクの横の壁または床の配管部分にあります。
タンクレストイレの場合は、便器のサイドパネルの中に設置されているため、取扱説明書で確認しておきましょう。

止め方の手順は以下のとおりです。

1. 止水栓の位置を確認
2. ハンドル式なら手で、ドライバー式ならマイナスドライバーを使って時計回りに回す
3. 水が止まったか確認（レバーを引いてタンクに水が流れないか確認。
   ただし、タンクにたまっている水が便器に流れるため、あふれそうなときはレバーを操作しない）

注意点としては、硬くて回らない場合に、力任せに回すと配管や止水栓が破損するおそれがあります。もし回らない場合は無理せず、元栓を閉めて対応しましょう。

トイレは水漏れ被害が広がりやすい場所です。
止水栓の位置と回し方を事前に把握しておくことが大切です。

キッチンの水を止める

キッチンの水栓の水漏れを止める場合や修理を行うときは、止水栓を閉めるのが基本です。
キッチンの水栓は「シンクに設置されている台付き水栓」と「壁に取り付けられている壁付水栓」があります。

それぞれ止水栓の位置が異なるため、自宅の水栓のタイプと止水栓の場所を確認しておきましょう。

取り付けタイプ	場所	閉め方
台付タイプ	・シンク下の収納庫の奥 ・通常、お湯と水の2本の給水管があり、それぞれに止水栓が設置	時計回りに止まるまで回す
壁付タイプ	壁に取り付けられている左右のクランク(偏心管)の接続部	マイナスドライバーで、時計回りに止まるまで回す

もし止水栓が固くて回らない場合は、潤滑剤（KURE 5-56など）を少量吹き付けて数分待つと、動かしやすくなります。
ただし、無理に力を加えると破損する可能性があるため注意が必要です。

止水栓が閉められない場合は、元栓を閉めて対応しましょう。

洗面台の水を止める

洗面台の止水栓は、収納庫（キャビネット）の奥にあります。
お湯と水で2本の給水管があるため、それぞれのバルブを時計回りに回して閉めます。
手元が暗く、操作がしにくいときは懐中電灯などを活用しましょう。

固くて回らない場合は、無理をせず元栓を閉めて対応しましょう。

お風呂の水を止める

お風呂の止水栓は、水栓のタイプによって設置場所が異なり、見つけにくい場合があるので事前の確認が大切です。

通常、壁付混合栓の場合は、水栓と壁の接続部の左右にあるクランク部分にありますが、水栓の裏側に隠されている水栓もあります。
賃貸のユニットバスでは、浴槽のエプロン（サイドのカバー）やパネルを外した奥に設置されていることが一般的です。

止水栓はお湯用と水用の2つ一組となっており、どちらもマイナスドライバーで時計回りに回して閉めるタイプが基本です。
止水栓が見つからない場合や固くて回らない場合は、無理をせず元栓を閉めて応急処置をしましょう。

洗濯機の水を止める

洗濯機用水栓には、キッチンやトイレのような止水栓が設置されていないのが一般的です。
そのため、水を止めたいときは元栓を閉めるのが基本です。

戸外の立水栓や散水栓を止める

庭や駐車場などにある立水栓や散水栓には、基本的に止水栓が設けられていないため、水を止めたいときは元栓を閉めて対応します。

元栓の場所

元栓は住宅のタイプによって設置場所が異なります。戸建て住宅では屋外、マンションでは玄関横、アパートでは共用部分にあるのが一般的です。住宅タイプ別の元栓の場所を見ていきましょう。

戸建て住宅の元栓

戸建て住宅の元栓は、メーターボックスと呼ばれる小さなふた付きのボックス内にあり、ハンドルを時計回りに回して給水を止めます。

主なポイントは以下のとおりです。

設置場所	敷地内の玄関先や駐車場の端など地面に埋め込まれたメーターボックス内
ボックスの見た目	地域や自治体によって色や形が異なる（青・黒、長方形、丸形など）
閉め方	ハンドルをゆっくりと時計回りに回す

固くて回しにくい場合は、軍手や工具（モンキーレンチなど）を使用すると安全に操作できます。
どうしても回らない場合は、地域の水道局に問い合わせましょう。
賃貸の場合は、管理会社か大家に連絡をします。

マンション・アパートの場合

集合住宅では、マンションは玄関ドア横のメーターボックス内に設置、アパートは共有部分に設置されていることがほとんどです。

主なポイントは以下のとおりです。

	マンション	アパート
設置場所	玄関ドア横のメーターボックス内	・敷地内の地面、廊下、壁際や塀際などで、共有部分に、各部屋のメーターがあり、その隣に元栓がある
注意・ポイント	ハンドルが2個ある場合は、両方を回して締める	・間違って他の部屋の元栓を閉めないように注意

元栓の位置やどれが自分の部屋のものかわからない場合は、管理会社や大家さんに連絡してから操作するのが安全です。

止水栓や元栓を閉める際のコツ

止水栓や元栓を閉めるときは、回した回数を覚えておくと、開けるときに同じ位置に戻しやすいため、水量の調整がしやすくなります。

スマホで動画撮影をしておく、メモに残すといった工夫がおすすめです。

止水栓が回らない・固いときの対処法

止水栓は長年使っていないと固着し、簡単には回らないことがあります。
ここでは、原因と応急処置の方法を紹介し、安全に対処するコツを解説します。

止水栓が回らない・固い原因

止水栓が回らないときは、いくつかの原因が考えられます。
よく見られるのは、長年回していないため、サビや汚れで固着しているケースです。
また、バルブを開ける際に強く回し過ぎているときも、戻らなくなってしまうことがあります。

原因を理解しておけば、開け閉めする際に安全に操作しやすくなります。

止水栓が固いときの応急対処法

止水栓が固くて回らないときは、潤滑剤を少量吹きかけて数分待つと、ネジやパッキンの固着がやわらぎ回しやすくなります。
そのうえで、滑り止め防止にゴム手袋を装着して、ゆっくりと力を加えて回しましょう。

それでも動かない場合は、無理に回さず元栓を閉める方法に切り替えましょう。
状況によっては、水道業者へ、止水栓の修理を依頼するのが安全です。

水を止めた後の確認と段取り

水漏れに気付いて、水を止めたあとは、必ず漏れている箇所の状況を確認し、修理を行いましょう。

止水栓や元栓で水を止めた後も、配管内に残った水が流れ出る場合があります。
まず、「完全に水が止まったか」をしっかり確認することが大切です。
水栓の修理や部品交換を行う場合は、蛇口を開けて給水管に残った水を出し切る「水抜き」を行い、作業を始めます。

修理後に開栓するときは、一度に開けず少しずつ開けて、水栓の修理箇所に水漏れがないかを確認してください。

止水栓や元栓のトラブルを含め水漏れなどの修理は、専門業者に依頼するのが早く確実です。自分での修理が難しいときは、業者に任せることを検討しましょう。

水が止められないときは業者に依頼

止水栓や元栓が回らない、場所がわからないなどで、自分で水を止められないときは、水道業者へ依頼するのが確実で安全です。
ここでは、依頼する際の判断ポイントと費用の目安を紹介します。

業者に依頼する判断ポイント

止水栓や元栓がどうしても回らない、または破損している場合は、無理せず水道業者に依頼しましょう。

• サビや汚れがひどく固着している
• 止水栓や元栓が回らない状態が続き、水が止まらない
• 無理に操作してネジが欠けた、止水栓や配管が破損している
• 元栓の位置がわからない

止水栓が閉まらない場合は元栓を閉めれば水を止めることはできますが、家全体の水が使えなくなるため、長時間閉めたままにしておくのは不便です。
できるだけ早く業者に連絡し、相談することをおすすめします。

止水栓・元栓の修理・交換にかかる費用の目安

止水栓や元栓がサビや固着、破損などで自分で対応できない場合は、水道業者に修理や交換を依頼する必要があります。

費用は作業料金に、出張費用、時間外費用、部品代などが加算されますが、業者により料金の計算方法が異なりますので、問い合わせ時に確認しておきましょう。
 正確な料金は家に来てもらってからの見積もりになります。「見積もり無料」の業者に依頼し、見積もりを確認して納得できたら依頼し作業開始になります。

以下は、作業費用の一例です。

作業内容	費用の目安（税込）	備考
止水栓・元栓の閉開作業	3,000円～	固着の軽度なもの
止水栓のパッキン・部品交換	3,000円～	部品代別途
止水栓交換	8,000円～	止水栓代別途

※地域や業者によって料金は異なります。

業者を選ぶ際は、料金の安さだけでなく、信頼性を重視しましょう。依頼先に迷う場合は、地域の水道局のウェブサイトで指定業者を確認することをおすすめします。有資格者が在籍し、一定の技術力や基準を満たしているため安心です。

止水栓や元栓のメンテナンスでトラブルを防ぐ

止水栓や元栓は、長く放置するとサビや固着の原因になり、いざというときに回らないこともあります。
緊急時にスムーズに閉められるように、定期的にメンテナンスをしておきましょう。

メンテナンス方法は以下のとおりです。

【止水栓・元栓のメンテナンス】

• 定期的に開閉して固着を防ぐ（年1～2回が目安）
• バルブ周辺の汚れを掃除してサビを予防
• パッキンは早めに交換
• 止水栓が回らないときに元栓を閉めて終わらせず、止水栓の修理を依頼する

日頃から少しのメンテナンスをしておくことで、突然の水漏れ時にもスムーズに対応でき、破損や修理のリスクを大幅に減らすことができます。

「水を止める」知識は、家庭の水まわりトラブルの基本対策

今回は、止水栓と元栓の場所や回し方、そしてトイレ・キッチンなど設備別の水を止める方法を解説しました。
水漏れなどのトラブル時は、落ち着いて「水を止める」ことで被害を最小限にできます。
止水栓や元栓の位置・操作方法を知ることが、安心につながるため、緊急時に水を止める方法を家族で共有しておきましょう。
万が一、固着などで回らないときは無理をせず、水道業者に相談するのが安全です。
日ごろから給水設備の確認・メンテナンスを行い、緊急時に迅速な対応ができるように備えましょう。