
『お風呂でゆっくり温まろう』と楽しみにしているのに、蛇口をひねってもお湯が出ない!
そんな事態に遭遇すると、ショックで途方に暮れてしまいますよね。
まずは焦らず原因を切り分けることが解決への近道です。
給湯器やガス、混合水栓の不具合や冬場の凍結など、原因はさまざまですが、基本的なチェックを行うことで、すぐに自分で対処できるケースもあります。
本記事では、原因別の確認ポイントと対処法、賃貸物件での対応、修理費用の目安や業者選びのコツまで、実践的に解説します。
風呂のお湯が出ない!まず確認したい3つのチェックポイント
お風呂の湯が出ないときは、まず基本的なチェックをしていきましょう。
原因によっては簡単に解決できる場合もあります。
ここでは、最初に確認したい3つのポイントをご紹介します。
キッチンや洗面所でお湯が出るか確認

まず確認したいのは、「キッチンや洗面所でお湯が出るかどうか」です。
お湯が出る場所と出ない場所を確認することで、原因をある程度絞り込めます。
| お湯の状況 | 考えられる原因 |
| 家中すべてでお湯が出ない場合 | 給湯器の故障やガスの遮断、など給湯設備に原因がある可能性があります |
| お風呂だけ出ない場合 | お風呂の混合水栓(サーモスタット)やフィルターの詰まりなどの不具合が考えられます |
この確認を行うだけでも、修理が必要なケースか、自分で対処できるかの目安になります。
まずは落ち着いて、蛇口を順番に確認してみましょう。
水は出る?それとも水も出ない?
次に確認したいのが、「水自体が出るかどうか」です。
| 水の状況 | 考えられる原因 |
| 水も出ない場合 | 断水、元栓や止水栓の閉まり、水道管や給湯器の凍結などが考えられます。 冬場の冷え込みが強い夜には、普段凍結しない地域でも給水管が凍ってしまうことがあります。 |
| 水は出るがお湯だけ出ない場合 | 給湯器やガス関連のトラブル、給湯器の故障などが原因の可能性が高いです |
水が出るかどうかの確認で、業者に連絡すべきか、自分で対処できるかの判断材料になります。
【ガス給湯の場合】ガスコンロが使えるか確認


ガス給湯器を使っている場合は、ガスが正常に供給されているかを確認しましょう。
ガスでお湯を沸かしているため、お湯が出ないときに、ガスが停止しているというケースは少なくありません。
| ガスの状況 | 原因の切り分け |
| ガスコンロが使えるか確認 | 火がつけばガスは来ています。 |
| ガスコンロも使えない場合 | ガスメーターの遮断(安全装置が作動)やガス供給の停止が考えられます。 |
| メーターをチェック | 表示ランプが点滅している場合や、エラー表示がある場合は復帰操作が必要です。 |
ガス給湯器は、復帰ボタンを押して表示ランプが消えればすぐにお湯が使えます。
もし、復帰ボタンを操作してもエラーランプが再び付く場合は、ガス漏れが考えられますので、すぐにガス会社に点検修理を依頼しましょう。
【エコキュートの場合】湯切れではないか確認

エコキュートを使用している場合は、まず「湯切れ」を確認しましょう。
エコキュートは貯湯タンクにためたお湯を使う仕組みのため、使い切るとお湯が出なくなります。
| エコキュートの状況 | 原因の切り分け |
| リモコンをチェック | 残湯量の目盛りが「0」や「少」になっていないか確認します |
| エラーコード表示 | 湯切れの場合はエラーや警告表示が出ることもあります |
| お湯が作られる時間帯 | 多くの家庭では、夜間から明け方の安い電気料金時間帯にお湯を沸かすため、使い切るとすぐにはお湯がたまりません。 |
エラー表示があるときは、取扱説明書やメーカーサイトでエラー内容を確認しましょう。
リセットで解消できるエラーであれば、リセットを行います。
リセットで解消しないエラーは修理点検の依頼が必要です。
エコキュートは電気代の安い深夜電力を使ってお湯を沸かすため、そのまま待つと、翌朝(通常23時ごろから5時ごろにお湯を沸かします)までお湯が使えません。
湯切れのときは、「沸き増し」でお湯を沸かすことはできますが、深夜電力ではないので割高になります。
沸き増しをする場合、タンクを満タンにするには7~8時間、シャワー1回分であれば約1時間かかります。
お風呂のお湯が出ない主な原因と対処法
お風呂のお湯が出ない原因には、「給湯器の不具合や水栓の故障」「配管の詰まり」「冬場の凍結」など、さまざまなケースがあります。
ここでは、主な原因とその対処法をわかりやすく解説します。
ガス給湯器のトラブル(寿命・故障・設定)

お湯が出ない原因で特に多いのが、給湯器のトラブルです。
ガス給湯器の寿命は一般的に約10年といわれており、長く使っていると故障のリスクが高くなります。
まずは以下の点を確認しましょう。
| 確認ポイント | 内容 |
| 電源が切れていないか | コンセントの抜けやブレーカーの落ちなど基本的な部分を確認します。(ガス給湯器も点火や温度センサーなどで電気を使っています) |
| リモコンの設定ミス | 温度設定が低くなっている場合や、運転が停止になっていることがあります |
| エラーコードの表示 | リモコンにエラーが表示されている場合は、取扱説明書を確認。 |
「リンナイ」「ノーリツ」「パーパス」などガス給湯器メーカーごとにエラー表示の内容が異なるため、メーカー名を確認することも大切です。
給湯器をリセットして解消する場合は自分で直せることもあります。
しかし、再起動しても改善しない場合は故障の可能性が高いため、専門業者へ依頼しましょう。
混合水栓(サーモスタット)の不具合

お湯が出ないとき、給湯器ではなく混合水栓の不具合が原因のこともあります。
最初のチェックで、「お風呂だけお湯が出ない」というケースです。
シングルレバー混合水栓ではカートリッジ、サーモスタット混合栓ではサーモユニットの劣化が考えられます。
カートリッジやサーモユニットは、お湯と水を混ぜて適温にする部品で、劣化や破損すると温度調整ができず、お湯が出ない・ぬるいといった症状が出ることがあります。
DIYに慣れている方であれば、ご自身で交換することも可能です。
カートリッジやサーモユニットの部品価格は5,000~10,000円前後です。
自信がない場合は、水道業者に依頼しましょう。
フィルターや配管の詰まり
「お風呂だけお湯が出ない」というケースで考えられるもう一つの原因は、フィルターや配管の詰まりです。
蛇口の先端と水栓のクランク部には「ストレーナー」と呼ばれるフィルターがあり、ここに汚れやゴミがたまると水やお湯の勢いが弱くなったり、まったく出なくなることもあります。
| 場所 | 掃除の仕方 |
| クランクのストレーナーの掃除 | 左右のクランクにある止水栓を時計回りに回し閉めます。 マイナスドライバーでストレーナーを取り外し、古歯ブラシで優しくこすり洗いし、流水ですすぎます。 ストレーナーの格納位置は水栓によって異なりますので、水栓の取扱説明書やメーカーのサイトで確認してから取り出しましょう。 |
| 蛇口先端のストレーナーの掃除 | 蛇口の先端のキャップ部分を手または工具で回して外し、古歯ブラシで優しくこすり洗いし、流水ですすぎます。 |
| 配管内の汚れやサビ | 給水管の内部にゴミがたまっている場合は、自分での対応が難しいため、専門業者に依頼が必要です。 |
築年数の古い住宅では、配管詰まりが原因のケースも少なくありません。
まずはフィルターの掃除を行い、お湯が出るかを確認しましょう。
フィルターが原因でない場合、また他にも原因が見当たらない場合は、配管内の調査を業者に依頼することも検討しましょう。
冬に多い!給湯器や水道管の凍結

冬の寒い時期にお湯が出なくなる原因で特に多いのが、給湯器や給水管の凍結です。
寒冷地だけでなく、温暖な地域でも冷え込みが強い夜間には凍結することがあります。
| ポイント | 内容と対策 |
| よくある症状 | 蛇口をひねっても「水もお湯も出ない」場合は凍結の可能性があります |
| 解凍方法 | タオルを巻いてぬるま湯をゆっくりとかけるか、ドライヤーの温風で温めて解かします。(熱湯をかけるのはNGです) |
| 予防策 | 凍結防止ヒーターの設置や、配管への保温材の巻きつけが効果的です。温暖な地域でも、夜間の気温が0度を下回るときは注意しましょう。 |
蛇口を開けたままにしていると、解凍後に水漏れが発生することがあります。
確認が終わったら、必ず蛇口のハンドルを締めておきましょう。
お風呂のお湯が出ないときのエコキュートの場合の原因と対処法

エコキュートでお湯が出ないときは、ガス給湯とは原因が異なります。
エコキュート特有の「湯切れ」や電源トラブル、機器のエラーなどが主な原因です。
ここでは、確認方法と対処法を解説します。
タンク内の湯切れ(残湯不足)
エコキュートでお湯を沸かしている家庭で、お湯が出ないときに多いのが、タンク内のお湯を使い切ってしまう「湯切れ」です。
エコキュートは夜間の安い電気料金の時間帯にお湯を沸かす仕組みなので、想定以上に使うと残湯がなくなることがあります。
リモコンで残りのお湯の量を確認し、お湯がない場合は翌朝まで待つか、手動で「沸き増し」をすると新たにお湯をつくれます。
ただし、沸き上げには時間がかかるため、すぐにはお湯が使えません。
来客や家族の入浴時間が重なる日などは、事前に沸き増しをしておくと安心です。
湯切れではないのにお湯が出ないときは、ブレーカーのチェックやエラー表示の確認を行いましょう。
ブレーカーや一時的な動作不良
お湯が出ないとき、意外と見落としがちなのがブレーカーや電源のトラブルです。停電やブレーカーが落ちたことが原因で、エコキュート本体の電源が切れているケースがあります。
| 漏電ブレーカー | エコキュートの貯湯ユニットにある「漏電ブレーカー 」が落ちていないか確認しましょう。 このブレーカーが落ちているとエコキュートが動かなくなるため、お湯が出なくなります。 スイッチを入れなおしてみましょう。 |
| リセット | 一時的な動作不良で、お湯が出ない場合に、リセットして再起動するという方法です。 本体やリモコンに「リセット」「運転/停止」ボタンがある場合は、再起動が可能です。 ボタンの押し方に規則がある場合があります。 必ず取扱説明書で確認してから再起動を行います。 |
| 停電後の復旧漏れ | 停電後に自動で復旧しない場合もあるため、停電があった場合は、本体の電源が入っているかどうかを確認しましょう。 |
電源トラブルはスイッチを押すことで、自分で簡単に対処できるケースが多いといえます。
ただし、漏電ブレーカーを入れた後に、何度もブレーカーが落ちるようであれば漏電が起こっていることが考えられます。
メーカーまたは業者へ修理を依頼しましょう。
機器の故障やエラー表示
エコキュートのリモコンにエラーコードが表示されている場合は、エラー番号を確認します。
エラー番号は、「取扱説明書」「メーカーの公式サイト」で確認ができます。
メーカーによってコードが異なりますので、本体でメーカーを確認してから調べましょう。
エラーコードにより、リセットなどを行い自分で対応できる場合と、メーカーや業者に依頼が必要な場合があります。
修理費用は内容によって異なりますが、2万〜7万円前後が目安です。
出張費などが発生する場合があるため、事前に症状を伝え見積もりを出してもらいましょう。
賃貸アパート・マンションでお風呂のお湯が出ないときの対応
賃貸アパートやマンションでお湯が出ないときは、自分で確認できることと、管理会社へ連絡が必要な場合があります。
ここでは、入居者が取るべき対応を解説します。
まずは自分でできるチェックを
賃貸物件でお湯が出ないとき、自分でできるチェックと行える操作で解決できるケースもあります。
| 賃貸でチェックできるか所 | 対処方法 |
| 元栓・止水栓の確認 | お湯だけでなく水も出ない場合は確認が必要。 閉まっている場合は、反時計回りに回して開けます。 |
| ガスメーターの確認 | 表示ランプが点滅している場合は、復帰ボタンを押して表示ボタンのランプが消えれば、湯沸かし器にガスが供給されます。 |
| 給水管の凍結 | 給水管の凍結原因の場合は自然解凍を待つのがベストですが、急ぐ場合はドライヤーで温めて解凍します。 熱湯をかけるのはNGです。 |
これらの確認と対処で改善しない場合は、自分で修理しようとせず、管理会社や大家さんに連絡しましょう。
管理会社・大家への連絡と費用負担
賃貸物件では、給湯器や配管といった設備の不具合は、基本的に大家や管理会社が修理費用を負担します。
ただし、入居者の過失や誤った使い方が原因の場合は、修理費用が入居者の負担になる場合もあります。
連絡する際は、下記を伝えましょう。
- 症状と発生日
- 給湯器の機種や型番
- エラーコードやランプの点灯状況
- 自分でチェックしたこと
状況を整理して正しく伝えることが大切です。
【重要!】勝手に修理依頼はしない!
賃貸物件で給湯トラブルが起きたとき、自己判断で業者を呼ぶのは避けるのが基本です。
管理会社や大家さんの指示を待たずに修理を依頼すると、たとえ設備が原因でも修理費を入居者が負担する可能性が出てきます。
必ず先に管理会社や大家さんへ連絡し、指示を仰いでから対応するようにしましょう。
給湯器や配管まわりは建物全体に関わる設備のため、勝手な対応はトラブルのもとになります。
お湯が出ないのは不便ですが、お湯を沸かしたり、銭湯などを利用したりして乗り切りましょう。
専門業者に修理を依頼する判断基準と費用目安
専門業者へ依頼が必要になった場合、多くの方が気になるのは、どのように業者を探すかと、その費用です。
ここでは、修理依頼の判断基準と費用の目安、信頼できる業者の選び方を解説します。
自分で直せないケースとは

お湯が出ない原因が、給湯器の故障や内部エラー、配管の損傷といった機器のトラブルの場合は、自分で直すのは危険です。
修理には資格が必要なものもあり、無理に触ると感電やガス漏れのリスクもあるため、専門業者に任せるのが安全です。
また、ストレーナーの掃除は比較的簡単な作業ですが、混合水栓のカートリッジやサーモユニットの交換には工具も必要なため、DIYに慣れていない方には難しい作業となります。
さらに、止水栓が固着して回らない場合も損傷のおそれがあるため、無理をせず業者に依頼が安心です。
安全だけでなく、修理も迅速に行われるため、結果的にお湯を使える環境を早く取り戻せます。
修理費・交換費用の相場

お湯が出ないときの修理・交換費用は、原因や部品によって大きく変わります。
費用の相場を一覧にしました。
| 内容 | 費用目安 | 備考 |
| ツーハンドル混合水栓 各部品交換 | 3,000円〜 | 作業費用のみ部材別途 |
| シングルレバー混合水栓 カートリッジ交換 | 8,000〜10,000円 | 作業費用のみ部材別途 |
| サーモスタット混合水栓 サーモユニット交換 | 8,000〜10,000円 | 作業費用のみ部材別途 |
| 混合水栓本体の交換 | 12,000円〜 | 本体劣化や水漏れの際に必要 |
| ガス給湯器・エコキュート修理 | 1〜8万円 | 部品交換・軽度の不具合など |
| ガス給湯器の交換 | 15〜25万円 | 本体交換費+工事費含む場合あり |
| エコキュートの交換 | 40~70万円 | 本体交換費+工事費含む場合あり |
※実際の金額は設置環境やメーカーによって異なります。
作業費用の他に、出張料・時間外費用・部材料などがかかる場合があります。
問い合わせの際に料金体系を確認し、必ず見積もりを取るようにしましょう。
業者選びのポイント
修理を業者に依頼する際は、費用や対応の安心感を重視して選ぶことが大切です。
見積もり無料の業者を選び、家に来てから実際の料金を見積もってもらいましょう。
費用が納得できてから依頼を決定することができます。
また、水道局指定業者であれば、信頼性が高く、適正な施工が期待できます。
夜間や休日にトラブルが起きた場合は、対応時間を確認して依頼するといいでしょう。
ただし、夜間料金がかかる場合があるため、事前に確認が必要です。
信頼できる業者を慎重に選ぶことで、余計な費用やトラブルを避けられます。
お風呂のお湯が出ないときの応急対応と入浴の工夫
すぐにお湯が復旧しない場合でも、その日に入浴したいときの代替方法や一時的な対応策をご紹介します。
翌日に修理を依頼すれば、夜間料金もかからず、ゆっくり業者を選ぶ余裕も生まれます。
- 銭湯やシャワーのある施設を利用しましょう(インターネットカフェ、スポーツクラブなど)
- 外出せずに済ませたい場合は、鍋でお湯を沸かし、タオルで体を拭くのがおすすめです。
寒い時期は部屋を暖めておきましょう。 - エコキュートの湯切れであれば、翌朝6時ごろにはお湯が使えるようになります。
凍結の場合は、気温が上がれば自然に解消されるため、急ぎでなければ、しばらく待つのも一つの方法です。
お風呂のお湯が出ないときは落ち着いて確認を
お風呂のお湯が出ないときのチェック方法と対処方法をご紹介しました。
お湯が出ないときは、「お湯・水・ガス・電気」の状態をチェックすることが大切です。
給湯器や混合水栓のトラブル、凍結や湯切れなど原因によって対処法はさまざまです。
状況を確認し適切な対処を行いましょう。
故障や不具合が原因なら、早めに専門業者へ依頼したくなります。
夜間でも対応可能な業者もありますが、費用面を考えると昼間の修理がおすすめです。

