正しいシールテープの巻き方とは?作業手順と注意点を徹底解説!

シールテープの巻き方に関しては、インターネット上にさまざまな情報が掲載されていますが、中には誤った内容も多く見受けられます。
誤った方法でシールテープを使用すると、接続部から大量の水が噴き出すといった深刻なトラブルを引き起こす可能性もあるため、正しい知識が非常に重要です。
この記事では、正しいシールテープの巻き方をはじめ、水漏れを防ぐためのポイントやコツなど、シールテープを扱う際に役立つ情報を詳しく解説していきます。
シールテープはどんな時に使う部材?

シールテープは、水道管と蛇口のねじ接続部に生じるわずかな隙間を埋めるために使用されるシール材です。
こうした隙間を適切に埋めることで、水漏れを防ぎ、接続部分の密閉性を高める役割を果たします。
シールテープは蛇口に限らず、水道管同士の接続部分や止水栓のねじ接続部など、さまざまな配管接続箇所にも広く使用されています。
シールテープの特徴や効果

「テープ」と聞くと、多くの方が粘着力のあるものを思い浮かべるかもしれません。
しかし、シールテープは一般的なテープとは異なり、テフロン製で粘着力を持ちません。
このシールテープは、「貼る」ためのものではなく、「隙間を埋める」ことを目的としたテープです。
粘着力がないため、付け直し作業も簡単に行えます。
なお、プロの現場でも同様の素材が使用されており、信頼性の高い製品です。
家のどこで使われている?

家でシールテープが使用されている主な場所は、以下の通りです。
- 洗濯用蛇口(壁付タイプ)
- 浴室用蛇口(壁付タイプ)
- 台所用蛇口(壁付タイプ)
- 屋外蛇口(水栓柱タイプおよび散水栓タイプ)
- 各所の止水栓接続部 など
基本的には、「壁付蛇口」と呼ばれるタイプの蛇口と「止水栓」には、シールテープが必ず使用されていると考えて差し支えありません。
自分でシールテープを巻き直す為の準備
壁の水道管と蛇口の接続部から水漏れしている場合、シールテープを巻き直すことで改善できるケースが多くあります。
シールテープが手元にあり、正しい巻き方や取り付け方を理解していれば、自分で修理することも十分可能です。
それでは次に、シールテープの準備について詳しく見ていきましょう。
まずシールテープや工具を用意しよう

シールテープだけでは、水漏れ修理を行うことはできません。
シールテープを使用する際には、他にも必要となる工具や道具があります。
それぞれの用途とあわせて、以下にご紹介します。
| 工具、道具、部材名 | 用途 |
| マイナスドライバー | 止水栓の開閉時に使用 |
| モンキーレンチ | 蛇口やナット類を緩めるときに使用 |
| ウォーターポンププライヤー | 偏心管を回すときなどに使用 |
| タオル、雑巾 | 水を拭き取るために使用 |
| ゴム手袋 | 使い捨ての薄手タイプは作業性が良く便利 |
| ハサミ | シールテープを適切な長さにカットする際に使用 |
| シールテープ | 接続部のネジ部分に巻いて水漏れを防止 |
これらの工具や道具を準備したうえで作業を行うことで、より安全かつ確実に修理を進めることができます。
シールテープの種類に違いはある?
シールテープはさまざまなメーカーから販売されていますが、基本的な機能に大きな違いはありません。
ただし、「伸びやすさ」や「馴染みやすさ」といった使用感には差があり、それによって水道修理に使いやすいシールテープと、そうでないものがあるのも事実です。
ここでは、水道修理に適したおすすめのシールテープをご紹介します。
- スリーボンド製
伸びが良く、配管部品にしっかり馴染むのが特徴。扱いやすく、プロの水道業者にもよく使われている信頼性の高い製品です。 - カクダイ製
ホームセンターなどでも手に入りやすい、定番のシールテープ。1m、5m、10m、15mと長さのバリエーションが豊富なので、用途に応じて選べます。 - SANEI製
一般的な白色のテープのほか、グレータイプも展開。グレーのテープは、継手部分を目立たせたくない場面におすすめです。
購入出来る場所と売られている価格帯
シールテープは、主にホームセンターやインターネット通販で手軽に購入することができます。
価格は1巻あたりおよそ130円から500円程度ですが、10巻入りなどのまとめ売りも多く見られるため、ネット通販で購入する際には数量に注意が必要です。
また、テープの幅には10mm、13mm、19mm、25mmといくつかの種類がありますが、水道修理に適しているのは、10mmまたは13mm幅のものです。
これらのサイズを選べば、作業がしやすく、しっかりとしたシール効果も期待できます。
正しいシールテープの巻き方を解説

冒頭でもお話ししましたが、水道シールテープの巻き方については、ネット上に誤った情報が散見されます。
正しく効果的に使用するためには、単に巻き付けるだけではなく、いくつかの重要なポイントやコツを理解し、実践することが大切です。
この解説では、シールテープの正しい巻き方について詳しくご説明していきます。
ただ巻き方の手順を紹介するだけでなく、「なぜそのように巻く必要があるのか」といった理由や背景についても丁寧にご説明いたします。
シールテープを交換する箇所の器具を取外す

まず、シールテープを交換する箇所の器具を取り外す必要がありますが、このときは必ず反時計回りに回して外します。
また取り外し作業にはいくつかの注意点があります。
まず一つ目は、壁中の水道管がしっかり固定されているかどうかを確認することです。
器具を手で触ったときに、水道管ごとグラグラと動くようであれば、その時点で作業は中止してください。
水道管が動くということは、壁内でしっかりと固定されていない可能性が高く、外す時に内部の配管が破損してしまう恐れがあります。
このような場合は、無理をせず水道業者に依頼するのが安全です。
次に、器具が固着していて手で回らないケースもあります。
長年使用していると、シールテープが固まって動かなくなっていることがあります。
このような場合は、モンキーレンチやウォーターポンププライヤーなどの工具を使用して、慎重に回してください。
一度緩み始めれば、あとは手でスムーズに回して取り外すことができます。
これらの注意点を踏まえ、安全に作業を進めていきましょう。
【コツ1】巻く前にねじ山をキレイにする

シールテープの巻き方のコツをご紹介します。
シールテープを取り付ける前にはタオルでねじ山を拭いてキレイにしましょう。
新品の器具を取り付ける場合でも、油分や金属粉が付着していることがあり、これをそのままにしておくとシールテープが滑ってうまく巻けない原因になります。
一方で、すでに使用していた器具を再取り付けする場合には、水分や汚れ、以前巻かれていたシールテープの残りが付いていることがほとんどです。
これらが残ったままでは、水分によって滑りやすくなり、巻いたテープがずれてしまう恐れがあります。
また、汚れや古いテープが付着していると、シール性が不完全になり、水漏れの原因にもなりかねません。
シールテープをしっかりと密着させて正しく機能させるためには、こうした前処理が非常に重要です。丁寧にねじ山を拭き取ってから、巻き付け作業に入りましょう。
正しく巻くには向きに気を付ける

シールテープを巻く際には、巻く方向を正しく理解することがとても重要です。
基本的には、ねじの先端部分を正面から見たときに、時計回りの方向に巻いていきます。
これは、蛇口や偏心管などの器具自体が、水道管に接続する際に時計回りにねじ込まれていくためです。
取り付け方向とシールテープの巻き方向が一致していれば、器具をねじ込む際にテープがしっかりと締まり、緩むことなく密着してシール効果を発揮します。
反対に、もしシールテープを反時計回りに巻いてしまった場合は、器具を取り付けるときにテープが巻き戻されてしまい、緩んでしまう可能性があります。
その結果、十分な密閉が得られず、水漏れを起こすリスクが高まりますので、巻く方向には十分注意しましょう。
また、テープの使い方そのものにもコツがあります。
シールテープは、ロールの外側の部分をねじに密着させながら巻いていくのが基本です。
うっかりロールの内側(手前側)をねじに当てて巻こうとすると、テープがたるみやすく、うまく張った状態で巻き付けられません。
結果として、緩みやすくなり、シール性も低下してしまいます。
外側をしっかりねじに当てながら巻いていけば、テープをピンと張ったまま安定して巻き付けることができ、しっかりとした仕上がりになります。
このように、巻く方向とテープの当て方を正しく守ることが、漏れのない確実な施工には欠かせないポイントです。
【コツ2】巻き始める位置はここから

次にご紹介するシールテープの巻き方のコツは、「ねじ山を2つ開けて巻き始める」という点です。
シールテープを巻く際に、ねじ山の先端まで覆うように巻いてしまうと、器具を取り付ける際に先端部分の余ったテープがちぎれてしまい、それがゴミとして蛇口の内部に入り込む可能性があります。
このちぎれたシールテープが蛇口の内部に残ると、水の通り道を塞ぎ、目詰まりを引き起こすことがあります。
場合によっては、水圧が不安定になったり、水が正常に出なくなったりといったトラブルが発生する原因にもなりかねません。
さらに悪化すると、蛇口自体の故障につながるリスクもあります。
こうしたトラブルを避けるためには、ねじ山の先端から2山ほど内側にずらした位置から巻き始めるのが理想的です。
そうすることで、シールテープが器具の内部に入り込むことなく、より安全で確実な施工が可能になります。
シンプルな工夫ですが、非常に効果的なポイントです。
巻く回数は一定ではない
シールテープを巻く回数についてですが、実はこれがインターネット上で最も情報が統一されていない点の一つです。
その理由として、巻き方や使用するメーカー(蛇口や配管)の違いにより、同じ口径であっても微妙な差が生じるため、一概に「何回巻けば良い」とは断言できない事情があります。
例えば、Aさんのご自宅ではシールテープを3回巻くだけで問題なく取り付けられたのに対し、Bさんのご自宅では5回以上巻かなければ水漏れが起きてしまったというケースもあり、状況によって必要な回数が異なるのです。
このような理由から、どのような蛇口や配管にも対応できる汎用的な巻き回数としては「5回~8回」が推奨されます。
逆に、確実に避けるべきなのは「3回未満」および「12回以上」です。
前者では密着が不十分で、後者では過剰になり逆に取り付けに支障が出る可能性があります。
また、巻く際のポイントとして、シールテープを2回転、3回転と重ねていく際には、必ず同じ位置に巻き重ねることを意識してください。
巻く位置が斜めにずれてしまうと、せっかくの巻き回数も十分な効果を発揮できず、水漏れの原因になりますので、丁寧に作業を行うことが大切です。
巻き終えたらハサミで切る

シールテープを所定の回数巻き終えた後の処理についてですが、巻き終わった部分はハサミを使ってカットすることをおすすめします。
確かにシールテープは手で引っ張ってちぎることも可能ですが、その場合、きれいに切断するのが難しく、途中で不自然に千切れてしまうことがあります。
そうした不規則な切れ方をしてしまうと、巻き終わりの部分が玉のように膨らんでしまい、そこから水漏れが発生する恐れがあるため注意が必要です。
ハサミでしっかりとカットすれば、そのようなリスクを回避できるうえ、仕上がりも美しく整います。安全性と見た目の両面から、ハサミを使用することを強く推奨します。
最後に指でシールテープを馴染ませる

巻き終えたシールテープは、最後に指で押さえながら馴染ませるようにしてください。このひと手間を加えることで、ねじ部分とシールテープの間、さらにはシールテープ同士の重なり部分に生じる細かな隙間をなくし、より密着性を高めることができます。
ただし、仕上げの際に爪でねじ山をなぞるのは避けましょう。
爪でなぞることでシールテープが切れてしまう可能性があり、一部でも切れてしまうと、そこから水漏れが発生するリスクが高まります。
シールテープの効果を最大限に引き出すためにも、丁寧に指の腹を使って押さえながら馴染ませるようにしましょう。
自分でシールテープを巻く時の注意点
自分でシールテープを巻いて蛇口を取り付ける際には、いくつか注意すべき点があります。ここでは、実際に起こり得る3つの代表的なケースをご紹介します。
・蛇口を取り付ける時に軽く感じる
・位置を調整する為、逆方向に動かした
・ねじ山は鋭く、指を切ることがある
尚、実際にあった事例も併せてご紹介いたします。
蛇口を取付ける時に軽く感じるのは?
本来、シールテープを巻いた蛇口をねじ込んでいく際には、回す回数が増えるごとに手応えが重くなるのが正常です。
2回転より3回転、3回転より4回転と、徐々に重くなるのは、シールテープがしっかりとネジ山に密着し、密閉性が高まっている証拠です。
しかし、回し込んでいく際に軽く感じる場合があり、これは注意が必要です。
こうしたケースには主に2つのパターンがあります。
一つ目は、最初は順調に重さを感じていたのに、途中から急に軽くなったというものです。
この場合、シールテープがねじ山から剥がれ、テープの抵抗がなくなって、ねじだけが空回りしている状態になっています。
もう一つは、最初から最後まで一貫して軽かったというパターンです。
これも同様に、巻いたはずのシールテープがねじ山にしっかり噛んでおらず、滑ってしまっている状態です。
いずれの場合も、テープが正しく機能していないため、そのまま通水すると水漏れを起こします。
軽さを感じた時点で作業を中断し、一度取り外してシールテープを巻き直す必要があります。
このような現象は、テープを巻きすぎた時に起こりやすいため、
巻き直す際は、最初に巻いた回数より1回少なくするのがコツです。
適切な巻き数としっかりとした密着が、水漏れを防ぐための重要なポイントになります。
軽く感じた時の失敗例

これは、実際に浴室のサーモスタット水栓を交換した現場で起こった失敗例です。作業中、偏心管を取り付けている際に、最後の約半回転分だけ、わずかに軽くなったような感覚がありました。ただし、「明らかに軽くなった」と言えるほどではなく、「軽くなったかもしれない」といった微妙な違和感だったため、そのまま一度通水して様子を見ることにしました。
すると、やはり予感は的中し、じわじわと水が染み出してきました。そのため、すぐに偏心管を取り外し、シールテープを巻き直して再度取り付け。2回目の作業では軽く感じることもなく、しっかりとした手応えのまま締め込むことができ、水漏れも起こらず、無事に作業を終えることができました。
この経験から改めて実感したのは、水回りの修理において「少しでも不安を感じたら、その不安はほぼ的中する」ということです。たとえ微細な違和感でも見逃さず、慎重に対処することが、確実で安心な仕上がりにつながります。
一度でも逆方向に動かすと水漏れする
蛇口や偏心管を取り付ける際、最後の位置を正確に決めることは意外と難しい作業です。
その理由は、取り付けの終盤になるほど締め込みの抵抗が強くなり、蛇口や偏心管が非常に重く感じられるためです。
真っすぐに取り付けるためには、ピンポイントで理想の角度に持っていく必要がありますが、この調整が思いのほか繊細で、少しでも行き過ぎるとオーバーして回してしまうことがあります。
そのようなとき、「ほんの少し戻すだけだから大丈夫だろう」と安易に逆方向に回してしまうことがありますが、これは非常にリスクの高い行為です。
逆回転させることでシールテープが緩んだり、ねじ山との密着が弱まったりして、結果的に水漏れの原因になる可能性が高くなります。
もし最後の位置合わせでオーバーしてしまった場合は、たとえ手間であっても、一度取り外してシールテープを巻き直す必要があります。
確実な施工と安心のためには、この一手間を惜しまないことが大切です。
逆方向に回して水漏れした事例

これは、浴室の混合水栓を交換した際に実際に起こった事例です。
作業中、最後の位置決めの段階でごくわずかにオーバーしてしまい、目標の位置に戻すためにおよそ5mmほど逆方向に回して微調整を行いました。
蛇口の向きはきれいに真っすぐに収まり、通水後も目立った水漏れは見られなかったため、「少しだけの逆回転だから問題なかったのだろう」とそのときは判断しました。
しかし、心のどこかで「本当に大丈夫だろうか」という不安が拭えず、念のために特別措置として30分間の経過観察を行うことにしました。
時間が経過した後、接続部にティッシュを軽く当ててみると「濡れてる!?」、やはり水漏れを起こしていました。
全て取り外し、シールテープを巻き直して再度取り付けを行いました。
ねじ山は鋭く指を切りやすい
ねじ山は鋭い為、取り扱いに注意しないと指を切ることがあります。
特に新品のねじ山は思っている以上に鋭利で、触れて指を滑らせると指先を傷つけてしまうことがあります。
シールテープを巻く際は、ねじ部分を手で押さえることが多いため、作業には十分な注意が必要です。
ゴム手袋を装着するのも一つの安全対策です。
ねじ山で指を切った時の作業事例

洗濯水栓を交換した現場で、実際に起こった作業中の出来事です。
新品の洗濯水栓に付着していたねじ山の油分や金属粉をタオルで丁寧に拭き取っている最中、ふとした拍子にそのタオルが手から滑り落ちてしまい、とっさに指でねじ山を擦り上げるような形になってしまいました。
幸いにもゴム手袋を着用していたため怪我には至りませんでしたが、それでもゴム手袋には裂け目が入っており、もし素手で作業していたら指を切っていた可能性が高いと感じました。
この出来事を通して、安全装備の重要性を改めて実感しました。
まとめ
シールテープは、正しい方法で巻かなければ水漏れの原因となります。
そのため、作業時にはいくつかの重要なポイントを押さえることが必要です。
具体的には、「ねじ山の清掃」をしっかり行い、「巻く方向」を誤らず、「巻く位置」や「巻く回数」を適切に設定することが大切です。
また、「巻き終わりの切り方」や「シールテープの馴染ませ方」も、水漏れを防ぐ上で非常に重要です。
これらのいずれか一つでも間違えてしまうと、接続部分から水が漏れてしまう可能性があります。
自分で作業を行う際には、これらのポイントを一つひとつ確認しながら丁寧に進めることが必要です。
もし作業中に少しでも不安を感じた場合には、無理にそのまま取り付けず、一度外して巻き直す判断も大切です。
確実な施工が、トラブルのない安心な仕上がりにつながります。



