
「トイレがつまってしまった!」そんなときはまずは冷静に対処することが大切です。
この記事では、トイレがつまったときの症状確認から適切な対処法までを詳しく解説します。
対処方法では、自宅にある針金ハンガーやラップを活用する方法と、それでは解消が難しい場合に、ラバーカップやワイヤークリーナーを使った本格的な解消法を知っておくと安心です。
さらに、自分で解決できるケースとすぐに業者に依頼すべきケースの判断ポイント、賃貸物件での注意点、業者に依頼する際の料金相場と見積もりのコツもお伝えします。
焦らず原因を把握し、スピーディーにつまりを解消するためにお役立てください。
まず落ち着いて!トイレ詰まりの症状チェック

トイレがつまったときに、レバーを何度も操作するのはNGです。
つまりの程度によっては、汚水があふれる可能性があるため、まずは冷静に症状を観察しましょう。
水位の変化や異音・異臭がないかどうかも、原因を知るための手がかりになります。
時間が経つと水位が下がる
水位が時間をかけて少しずつ下がる場合、原因はトイレットペーパーや排泄物など水に溶けるものが原因のつまりである可能性が高いです。
逆流や汚水あふれを招くため、レバーで流そうとするのはNGです。
レバー操作をやめ、誤ってレバーを引いても水が流れないように、必ず止水栓を閉めてください。
落ち着いて水位が安定するのを待ち、次の手順に進みます。
タンクからの給水が少なく、水に勢いがない
水の流れが弱く、汚物が流れない場合は、便器側のつまりではなく、タンクからの給水が不足している可能性があります。
もし、節水器具や節水ボトルを使用していたら、すべて外して、水の流れを確認しましょう。
次に、タンク内で不具合が起こっていないか、止水栓の開き具合は適切か確認し必要に応じて調整します。
タンク内の確認ポイントは、「水位線」「浮き球」「鎖の絡みや劣化」「ボールタップのフィルターの目詰まり」などです。
改善しても流れない場合は、つまりも発生している可能性があります。
■併せて読みたい記事
トイレタンクの水がたまらない時にチェックする箇所や考えられる原因
https://www.aqua-partner.jp/helpful/toilet-tank-not-fill-water
水が流れる際に異音・異臭がする
「ゴボゴボ」などの異音や下水臭は、排水管や排水桝でつまりが起こり、空気がうまく抜けていないサインです。
便器から先でつまっているため、水を流し続けると逆流や漏水のリスクもあります。
止水栓を閉め、早めに業者への依頼を検討しましょう。
トイレが詰まる主な原因と「つまる場所」
つまりは「原因とつまった場所」を把握すると、対処がしやすくなります。
便器のトラップ・排水管・屋外の排水桝の特徴を確認し、次の見出しで原因別に整理します。
つまる場所
つまった場所として考えられるのは、以下の3か所です。
- 便器内のトラップ・・・便器内にある複雑に曲がった部分
- 便器から先の排水管・・・トラップの先にあるため、自分での対応は難しくなる
- 屋外の排水桝・・・戸外にある、ふたに「汚水・おすい」などの記載がある
つまりはカーブの強いトラップで発生しやすく、尿石や紙は排水管内に蓄積して排水の通り道を細くします。
屋外桝ではヘドロの堆積や木根の侵入が原因になります。
ふたを開け水位や流れを確認し、異臭・逆流があればつまり取りが必要な状況です。
つまる原因

原因は大きく5タイプに分かれます。
主な原因を5つ挙げ、一覧表にまとめました。
自分で対処できるかどうかの判断材料にしてください。
| 原因タイプ | 自力対処の目安と注意点 |
| 紙の大量投入(掃除シート・ティッシュなど) | ぬるま湯+洗剤・重曹お酢・ラバーカップなど、熱湯はNG |
| 吸水膨張系(おむつ・猫砂など) | 自力対処は原則NG・奥へ押し込み悪化する可能性がある |
| 固形物(おもちゃ・歯ブラシ・食品など) | 回収のみ可・ラバーカップ使用は厳禁・業者依頼 |
| 尿石の蓄積 | ・便器内であればサンポールなど酸性洗剤で洗浄 ・排水管内の蓄積が疑われる場合は、業者依頼 |
| 水量不足 | ・タンク内の水位やパーツなどを確認 ・給水が少ない場合は止水栓で調節 |
よくあるのは、水に溶けにくいトイレットペーパーや「流せる」とされるお掃除シートを大量に流した場合です。
実は、「流せる」と思っているものの中には、「水に溶けにくい」ものがあります。
厚手のお掃除シートや圧着された部分があるおそうじブラシは、大量に流さないなどの注意が必要です
自分で直せる?業者に依頼?判断のポイントと賃貸の注意
症状と原因を考慮し、「自分で解消できるか」「業者に依頼すべきか」を見極めましょう。
つまりの悪化を防ぎ、できるだけ早く解消できることを最優先に判断しましょう。
また、自分でのつまり取りに無理を感じたら業者への依頼も大切です。
自力で対処できる可能性が高いケース

自分で対応できる可能性が高いのは、原因がトイレットペーパーや排泄物で、便器内(トラップ)でつまっていると考えられる場合です。
水位が時間とともにゆっくり下がる状態は自力対処ができる可能性があります。
ぬるま湯と洗剤で紙が溶けるのを待つ、ラバーカップで一気に解消するなどの方法があります。
つまり取りの途中で逆流や異臭が出たら中止し、業者に依頼を検討しましょう。
すぐに業者へ依頼すべきケース

トイレがつまったときに、自分でできる対処法には限界があります。
無理に行うと、状況を悪化させる可能性があるため、以下のケースは、業者に依頼しましょう。
- スマホやおもちゃなど固形物を落として目視で取り出せない
- 屋外の排水桝があふれる・逆流している
- 集合住宅で、階下へ漏水の恐れがある
- 自分でつまりは一旦取れるが、頻繁に再発する
- タンクや便器、排水管から水漏れがある
見えない場所にある固形物を取り出そうとして自分でラバーカップを使うと、逆に奥へ押し込んでしまう可能性が高いので、十分に注意してください。
賃貸の場合は、管理会社にも連絡しましょう。
賃貸の人はここを確認
賃貸では、まず止水栓を閉めて被害が悪化するのを防ぎ、管理会社・大家へ連絡します。
発生時刻・症状・試した対処を伝え、写真や動画を共有できれば、状況がスムーズに伝わります。
費用負担は「入居者の過失」か「設備の劣化」で変わるため、勝手に業者を手配せず、必ず管理会社や大家さんに相談しましょう。
つまり取りの作業前の準備は共通
つまったときの対処法では、どの方法を行う場合でも、作業前の準備は同じです。
床を養生し、手袋や雑巾を用意。止水栓・電源・換気を整えてから進めます。
準備するもの

準備するものを一覧表にしました。
| 品目 | 用途 |
| 手袋 | 手を守る |
| ビニール袋 | 回収物廃棄用 |
| バケツ | くみ出した水を入れる・お湯や水を注ぎ込み用 |
| 雑巾・新聞紙 | 床の養生・水の飛び散りを吸収させる |
| 養生テープ | 新聞紙の固定用 |
養生テープはセロハンテープなどでも代用できますし、手袋がなければ、ビニール袋を手にかぶせて活用してもいいでしょう。
止水栓を閉める

うっかり水を流してあふれるという状況を防ぐため、まず止水栓を閉めましょう。
固くて回らない場合は無理をせず、元栓で全体を止めてください。
■止水栓の場所と閉め方
- 場所:タンク横の壁や床、タンクレストイレは、サイドパネルの中
- 閉め方:ハンドルタイプ、ドライバーで回すマイナス溝タイプとも、右へ止まるまで回す(何度回したかをメモしておくと戻すときの調整が楽)
■元栓の場所と閉め方
- 場所:戸建てでは、敷地内の地面にある水道メーターボックス内
マンションはドア横のパイプスペース内の水道メーターの隣
アパートでは敷地内の地面(通路などの場合も)に並んで設置、壁や塀際に設置の場合もある - 閉め方:ハンドルタイプ、レバータイプなどがあるが、いずれも右へ止まるまで回す
【注意】アパートでは他の部屋の元栓を操作しないように充分注意する
長年回していない場合は、固着して動かない可能性もあります。
無理に回すと破損の恐れがあるため、無理せず業者へ依頼するのが安全です。
コンセント・換気・便器内の水位調節

感電と故障を防止するために、ウォシュレットのコンセントを抜くことを忘れないでください。
次に、作業前に封水(便器内の水)を作業しやすい高さまで減らします。
紙コップなどで汲み取り、バケツへ入れます。
作業時の水の飛び散りに備え、マット・スリッパ・小物・トイレットペーパーは撤去し、床と壁を新聞紙などで養生しておきましょう。
針金ハンガーで直す方法
針金ハンガーはトイレがつまった際に、家に有効な道具がないときに使えるアイテムです。便器を傷つけず安全に使うための手順と注意点を解説します。
ハンガーが有効なケースとNGなケース
ハンガーは「ほぐす・引っかけて回収」に向きますが、つまりの原因によっては悪化につながります。使う前に次を確認しましょう。
- 解消できる可能性があるケース:便器トラップ付近の紙づまり、流せるシートをほぐすなど
- 使ってはいけないケース:固形物(スマホ・おもちゃ・おむつ等)、便器より先の排水管のつまり
針金ハンガーをそのまま使うと、先端で陶器を傷つける恐れがあるため、針金が直接便器に触れないよう工夫しましょう。
ハンガーの準備と先端保護
トイレのトラップに入れていくため、針金ハンガーは柔らかいものを準備します。
- ハンガーを1本に伸ばして片方の先端を、釣り針のように曲げる(引っかけてほぐせるように)。
- 先端は針金が便器に当たらないように内側に曲げるか、ビニールテープなどで保護する
- 便器のトラップをイメージしながら、カーブに沿うように全体に角度をつける

作業は手袋をつけて行いましょう。
具体的な手順と注意点
作業は“ほぐして回収”が基本です。
無理に押し込むと、つまりが奥へ移動して悪化する恐れがあります。
次の手順を参考に、短時間だけ試し、変化がなければ、他の方法を検討しましょう。
- 封水を減らす。先端に針金が出ていないかを再確認する
- 封水の底から斜め上方に向かってゆっくり差し込み、つまりに行き当たるか確認する。
- 手ごたえがあったら、押さずにほぐす・引っかけて引く動きを中心に行う。
- つまりが堅い場合や手ごたえがない場合は無理をしない。2〜3分で変化がなければ中止する。
つまっていたものが引き出せたら、流さずにゴミとして回収し捨てる。
【軽度な詰まり】ラバーカップが無い人向け:道具なし・家にあるもので試す対処
軽度の紙・排泄物系のトイレつまりの対処法では、家にあるものでつまりの解消ができる可能性があります。
ここでは4つの方法をご紹介します。
| 方法 | 手順の要点 |
| バケツ注水 | 【目的】水圧でつまりを動かす 【注意】水位が通常に戻ってから試す ・流れるが時間がかかるときに試せる方法。水位が通常に戻ってから試す ・便器中央へ腰の高さからバケツ半分程度の水(約4L程度)を一気に注ぐ |
| ぬるま湯+洗剤 | 【目的】洗剤で浸透力を高め、お湯で紙を解かす 【注意】水位が通常に戻ってから試す ・バケツ半分程度の40〜50℃のお湯に食器用洗剤をワンプッシュ入れ、便器に注ぐふたを閉め、30分程度放置し→静かに流す |
| 重曹+お酢 | 【目的】発泡力で紙を解かし動かす 【注意】軽度のトラップ内でのつまり向け ・重曹60g→クエン酸30gの順で投入し、発泡させる。30分程度放置し、バケツでゆっくり水を注ぎ入れて、つまりが解消しているか確認する |
| ラップ | 【目的】空気の圧力で水を押しつまっているものを動かす 【注意】一度、水を流すため、あふれないように水位に注意 ・便器面をラップで密閉する(ラップを重ねて便器から空気が漏れないようにする)。レバーを引いて水を流すと空気圧でラップ面が膨らむため、両手でゆっくり圧力をかけることを数度繰り返す。水が流れたら、つまりが取れている。 |
いずれも家にあるもので試す方法ですが、水位には十分注意してください。
水があふれそうな場合に、レバーを操作したりバケツの水を注いだりすると大きなトラブルにつながります。
【中度~重度】道具を使う本格対処(購入時のポイント付き)

中度~重度のトイレつまりの場合は、専用のつまり取り道具を使って確実に解消する方法がおすすめです。
| 道具 | 購入ポイント・注意点・手順 |
ラバーカップ![]() | 【購入ポイント】 便器形状に合うタイプ・サイズを選ぶ 【注意】 水が飛び散る可能性があるので、しっかり養生する。 【手順とポイント】 カップを排水口に押し当てたときにカップ全体が水に浸かるくらいの水量にする。カップを排水口に押し当て、ゆっくり押し込み素早く引くを繰り返す。 つまりが取れると、水がゴボゴボと引き、通常の水位まで戻る。 水位が戻らない場合は、つまりが取り切れていないので、再度つまり取りを行う。 |
真空式パイプクリーナー![]() | 【購入ポイント】 パッキン径が便器排水口に合うものを選ぶ 【注意】 押し付けた際にカップと便器の間に隙間があると効果がなくなる 【手順とポイント】 排水口を覆うようにカップ部分を密着させ、カップを覆うように水をためる。 片手で、真空式パイプクリーナーをしっかり押し当て、片手でハンドルを上下させ、圧力でつまりを動かしてとる。 |
ワイヤー式クリーナー![]() | 【購入ポイント】 便器が傷つきにくい形状を選ぶ、ハンドル付きが使いやすい 【注意】 無理な押し込みはしない、固形物は押し込む可能性あり 【手順とポイント】 便器の底からトラップに差し込み排水管に入れる。 つまりに当たった手ごたえがあれば、レバーを回してつまりをこそげ取る。 先端に引っかけて引き出せるようなら、手元に引き寄せてゴミとして捨てる。 |
トイレ用洗剤![]() | 【購入ポイント】 つまり取り用としてよく使われているパイプユニッシュは、紙を溶かすことができないため、トイレのつまりには効果がありません。尿石対策にはサンポールなどの酸性洗剤が使えますが、これは日常の掃除の際に使用しましょう。 【注意】 サンポールを使う際は、塩素系の洗剤や薬剤と混ざると危険です。 単体で使うようにしましょう。 |
道具を使うと、簡単につまりが解決することが多いため、何か一つ保管しておくと安心です。
ただし、おむつなどの吸水膨張するものや、固形物を流した場合は、業者に依頼し早期解決につなげましょう。
自分の対処法で解消できない場合は業者へ
トイレがつまった際に、対処法を試しても解決しない場合や、固形物を流してしまった場合は、早めに業者へ依頼するのが安心です。
依頼した方がいい状況や料金相場についても、事前に把握しておきましょう。
業者に依頼をおすすめするケース
業者へ依頼すべき状況は次の通りです。
トイレは毎日何度も使う場所なので、つまりは早めに解消することが大切です。
速やかに業者に依頼して早期に復旧させましょう。
■業者に依頼をおすすめする症状
- 押し込むと悪化するケース:固形物(おもちゃなど)、吸水膨張系(おむつなど)を流してしまった場合
- 悪臭・逆流につながる:屋外桝、屋外排水管のつまり
- 被害が拡大する:水漏れ(つまりのため排水管内に水が滞留し管のつなぎ目から水が漏れるなど)
- 自分で解消を試みたがつまりが取れない、解消してもすぐに再発する場合など
放置するとトイレを使う度に不自由なだけでなく、悪化する場合もあるため、自分で解決するつまりと依頼するつまりを見極めることが大切です。
料金相場の見方と見積もりのコツ
料金は通常、「出張料金+作業料金+時間外料金+部材費+延長時間料金」などで決まります。
業者により内容が異なり、基本料が別途かかる場合もあるため、問い合わせるときに、サイトに掲載されている料金以外にかかる費用があるかをしっかり確認しましょう。
見積もり無料の業者に依頼して現地での見積もり後に、納得できたら依頼を決めるのが安心です。
下記は作業料金の一例です。
| 作業内容 | 目安料金 |
| 薬剤作業 | 5,000円前後 |
| ローポンプ使用 | 8,000~10,000円 |
| 尿石除去作業 | 8,000円前後 |
| トーラー作業(ワイヤー) | 15,000円~25,000円位 |
| 高圧洗浄作業 | 15,000円~30,000円位 |
| 便器脱着 | 20,000円~30,000円位 |
※業者が「トーラー作業」「高圧洗浄」を行う場合は、通常便器の脱着が必要です。
トイレが詰まった時は、焦らず原因を見極めて最適な方法で対処
トイレのつまりが発生したときの対処法を解説してきました。
まず大切なのは、慌てずにレバー操作を止め、症状を確認することです。
軽度なつまりは、家にあるハンガーやラップの活用で、中~重度のつまりはラバーカップやワイヤークリーナーを使うことで、自分で迅速に解消できるケースがあります。
しかし、固形物や自分で解決できないつまりは、無理をせず業者へご相談ください。
悪化のリスクを避けるためにも、早めの判断で、快適なトイレを取り戻しましょう。





