
マンションでは何カ所で蛇口が使われているかご存じですか?
マンションの場合、基本はキッチン・洗面所・お風呂・洗濯場の4ヶ所になります。
マンションによってはベランダに蛇口が有ったりトイレ室に手洗い蛇口が有ったりするケースもありますが、基本はキッチン・洗面所・お風呂・洗濯場の4ヶ所です。
しかし、蛇口の水漏れは一つの蛇口でも2つ~4つ位の原因があり、それぞれ交換する部品が違います。
家の蛇口の水漏れを全て自分で修理しようと思ったら、10個ぐらいの部品交換方法を知っていて、それに対応する工具も持っていなければなければいけません。
これは水道業者でもなければ中々難しいでしょう。
しかし、修理は出来ないまでも応急処置ならどうでしょうか?
実は蛇口水漏れの応急処置方法は基本3つに限られていて、この3つを知っていれば全ての水漏れの応急処置が可能になります。
今回はマンションの蛇口から水漏れが起きた時の原因別の応急処置や、応急処置の作業事例などを解説して行きます。
マンションで蛇口の水漏れに気付いたら・・・?

「水漏れ」というトラブルで一番リスクのある行動は「様子見」「放置」ということです、要は何もしないという選択をすることです。
特にマンションであれば放置をした結果、状況が悪化して大きなトラブルになったケースもあります。
水漏れは怖いものですが、もし水漏れを軽く考えている様であれば今一度、水漏れに対する認識を改めた方が良いと思います。
まず、家に供給されている水道は基本的に圧力の高い水です。
どのくらい強いかというと蛇口を全開にした時の水圧になります。
「それならそこまで大したことないじゃん!」と思われた方はいませんか?これは全開にする場所にもよりますが、シングルレバー混合水栓の場合はカートリッジや泡沫キャップを通ることにより、多少なりとも水圧が弱くなっています。
もしかしたら止水栓や元栓で水量を絞ってあることもあります。
一番、水圧を感じることができるのは昔ながらのハンドル水栓です、止水栓、元栓が全開でハンドル水栓も全開にしたら少し怖くなるくらいの水圧で水が出て来ます。
この「少し怖くなるくらいの水圧」を止めたり出したりしているのが各所にある蛇口なのです。水漏れで一番被害が大きいのは、全開の水が排水設備の無い所に噴き出した場合です。
イメージとしては家のリビングに水道ホースで全開に水をかけるようなものです、恐ろしいですよね。
水漏れはこの恐ろしい状況を含んでいます、もちろん少量の水漏れであれば最悪のケースになる確率は低いでしょうが、水漏れで怖いのは「急激に悪くなるケースが多い」ということです。
またマンションの場合は自分の家だけでなく、他人の家にまで被害を与えてしまう水漏れもあります。
ここで実際にあった水漏れ事故の事例をご紹介します、
マンションで起きた水漏れ事故事例
マンションに住んでいる方から「下の部屋に水漏れしている」というご依頼がありました。
現場は築50年位のマンションで3階から2階の天井に水漏れしていました。
現場は3階の洗面所で、洗面台は水とお湯の立水栓が付いている壁掛けタイプでした。
状況は天井、壁、床と周囲一面、水浸しの状況で、水漏れと言うよりも水が噴き出したようです。
私が訪問した時には既に元栓を閉めていましたが、それでも至る所からポタポタとかかった水が垂れて来る状態でした。
この洗面スペースに大量に噴き出した水が、下の部屋の天井から漏れ出していました。
下の部屋への漏水を少しでも減らす為に、作業はまず3階の洗面スペースを拭き上げました。
一通り拭くことができ、3階には水溜まりなどが無い状態になりました。
しかし、下の部屋を確認すると引き続き水漏れは止まっていない状態です、ただしこれは当然のことで、3階の部屋内の水溜まりは無くなっても、3階床下から2階天井裏の間に入った水が少しずつ漏れてきます。
これは漏水した量にもよりますが、長いと半日から一日、漏れ続けることもあります。
水漏れの原因は水側の立水栓が折れたことで水が噴き出したようです。
経緯としては、水漏れには前から気付いていたがポタポタ程度の漏れだったのと、修理代を払うのが嫌だったので随分放置していた、しかし水漏れの量が多くなったのでハンドルをきつく締めようとして力一杯に回したら折れた、とのことでした。
水道の交換をして終了、内装の修理は管理組合と話しをするとのことでした。
これは古い蛇口なのに水漏れを放置して、急に漏水量が多くなった事に焦り、力任せにハンドルを回した結果、折ってしまったという漏水事故でした。
ポタポタ漏れの時に放置せず、その時に対処していればこのような事故は起きなかったはずです。
水漏れはいつ、状況が悪化するか分かりません。急激に悪化することもあります、それだけ給水の圧力は強い訳です。水漏れは放置しても直ることはありません、放置することは百害あって一利なしです。
水漏れに気付いたら、応急処理、修理、業者連絡など何かしらの対処をする必要があります。
蛇口の水漏れ原因と応急処置

蛇口水漏れ被害拡大防止の為の応急処理は以下の内容になります。
| A…止水栓を閉める B…元栓を閉める C…ハンドル/レバーを動かさない |
基本的にはこの3つの方法のだけで、各種蛇口で起きる全ての水漏れ被害拡大防止の応急処理ができます。蛇口の場所、種類、水漏れ症状、水漏れ原因、応急処置は何をしたらいいか?を一覧表にしてみたのでご覧ください。
| 場所 | 蛇口種類 | 水漏れ症状 | 水漏れ原因 | 応急処置 |
| キッチン、洗面所 お風呂、洗濯場 | 自在水栓、単水栓 2ハンドル混合水栓 | 吐水口から水漏れ ハンドル下から水漏れ スパウト根元から水漏れ | ケレップ劣化 三角パッキン劣化 Uパッキン劣化 | B(A) B(A) C |
| キッチン、お風呂、洗濯場 | 壁付自在水栓、壁付単水栓 壁付2ハンドル混合水栓 | 蛇口と壁の接続から水漏れ 蛇口と偏心管の接続から水漏れ 偏心管と壁の接続から水漏れ | シールテープ劣化 偏心管パッキン劣化 シールテープ劣化 | B A B |
| キッチン、洗面所、お風呂 | シングルレバー混合水栓 | 吐水口、レバー下から シャワーホースから | カートリッジ故障 シャワーホース破損 | A C |
| キッチン、お風呂 | 壁付シングルレバー混合水栓 | スパウト根元から 蛇口と偏心管の接続から 偏心管と壁の接続から | Uパッキン劣化 偏心管パッキン劣化 シールテープ劣化 | C A B |
| キッチン | 台付シングルレバー混合水栓 | 本体胴体部(スパウト回転部)から | Xパッキン劣化 | A |
| お風呂 | サーモスタット混合水栓 | 吐水口から | 開閉バルブ故障 | A |
| サーモスタット混合水栓 2ハンドル混合水栓 | スパウト根元から シャワー、ヘッドホースから | Uパッキン劣化 シャワーヘッドやホースの破損 | C C | |
| 洗濯場 | 単水栓 レバー水栓 | ・洗濯ホースとの接続から水漏れ ・ニップル部からの水漏れ ・洗濯ホースが取り付け出来ない | 洗濯ホースの劣化 ニップルパッキンの劣化 緊急止水弁の故障 | C |
補足事項
※壁付、台付の表記が無い蛇口は両方を含んでいます
※台付の自在水栓、単水栓は止水栓が設置されているケースもあります、その場合はAとなります。
※2ハンドル混合水栓は偏心管に止水栓が無いタイプもあります、止水栓が無い場合はBとなります。
応急処置をする時は、水漏れのリスクと生活のリスクを考えて判断しなければいけません。
Bの「元栓を閉める」という応急処置は、はっきり言えば全ての蛇口の全ての水漏れを止めることができます。
それと同時に家中の水が使えないというリスクも生じます。Bの元栓を閉めるというのは最終手段で、A、Cの選択肢がある場合はA、Cの応急処置を行ってください。A、Cの選択肢がない場合のみBの応急処置となります。
また、お湯側だけが水漏れしていてBの対象の場合は、給湯器下にあるバルブを閉じればお湯のみを止水して応急処置することもできます、そうすれば水は使うことができます。
プロが行う応急処置の作業事例

蛇口水漏れの応急処置でも少し特殊な、プロでなければ対応が難しかった作業事例を2つご紹介いたします。
ケース① キッチン自在水栓を外して給水管に止水プラグ
「キッチンの蛇口から水漏れしている」というご依頼がありました。50年位経っているマンションで、蛇口は壁付の自在水栓が設置されていました。
伺った時にかなりの量の水が出っぱなしになっていたので、とりあえず元栓を閉めて一旦止水。
自在水栓の状態を確認すると蛇口がもう限界で、スピンドルのネジ山も蛇口本体側のネジ山もダメになっていました。
蛇口の交換が必須だったので、居住者様に蛇口交換を提案しましたが、「来月、キッチンのリフォームする予定なので蛇口交換はしたくない、何とかキッチンの水だけ止めてほしい」とのことでした。
蛇口を取り外して給水管に止水プラグを取り付ける対処方法をご説明したところ、「ぜひ、それでやってほしい」とのことだったので作業をすることに。
まず自在水栓を取り外しますが、給水管がグラグラしていて、年数も考慮するとこのまま取り外せば給水管が折れる可能性が高いと判断。
給水管を工具で固定してから自在水栓を取り外しました。
止水プラグにシールテープを巻き、給水管に取り付けを行いました。
今回は古さがかなりネックになっていましたが、何とか居住者様の要望通りの応急処置がました。
ケース② 固くて回らない止水栓を回す
「洗面所の蛇口で水漏れがあり、止水栓を閉めようとしたが閉まらない」とのご依頼がありました。
築年数を確認したが「わからない」との回答、見た感じ30年は経っているマンションでした。
居住者様が元栓を閉めていたので蛇口の水漏れは止まっていましたが、確かに止水栓は全然回らない状態でした。
今回、蛇口は居住者様自身で購入していて、止水栓さえ閉まれば後は自分でやりたいとのことだったので、止水栓の修理の見積りをご提示。
了承をいただいたので作業を開始。
今回のネックは「固い」という点でした。
マイナスドライバーで回すタイプの止水栓でしたが、力任せに行うと「止水栓の回す部分が欠ける」「止水栓カバーナットの部分から水漏れする」「止水栓と給水管の接続部が折れる」と言ったリスクが考えられたので、特に慎重に進めました。
多少、力を入れても止水栓が動かないよう、止水栓を工具で固定。
マイナスドライバーはしっかり奥まで差し込んで、ゆっくり時計回りに回して行きました。勢いをつけた方が瞬間的に加わる力は大きいですが、その分、他に加わる力も強くなり、先程挙げたリスクに繋がるのでNGです。
慎重に行ったおかげで水漏れをすることなく、止水栓が動くようになりました。
住んでるマンションは分譲?賃貸?

それでは、応急処置後の行動にはどのような選択肢があるのか、もしくは選択肢が無いのかを見て行きましょう。
| 分類 | 応急処置後に行う事 | 内容 |
| 分譲 | 自分で直す | 自分の持ち家なので自分で修理することは可。自分で修理できれば一番早く、安く修理出来る。 |
| 水道業者に連絡する | 水道業者を探して修理依頼をする。一番オーソドックスな方法。 | |
| 管理組合に連絡する | 水道修理や水道工事を行う際(自分、業者共)は管理組合に事前報告しなければいけないマンションもある。 | |
| 不動産会社に連絡する | 購入した不動産会社に連絡する、ただし相談という意味合い(水道業者を紹介してくれる所もある) | |
| 賃貸 | 管理会社(又はオーナー)に連絡する | 賃貸の場合、蛇口の持ち主はオーナーです、また管理会社は全ての窓口なので蛇口の水漏れは管理会社に連絡する必要があります。 |
分譲の場合はいくつかの選択肢があります。
基本は自分で直すか業者に依頼するかという選択になりますが、分譲マンション特有のこととすれば「管理組合」があることです。
分譲マンションは自分の家なので、本来、何をしようが誰に許可を得る必要もありません、しかし、マンションという集合住宅の特性上、自分勝手なことをすると隣接する家に迷惑がかかるかもしれません、水道工事で言えば工事による騒音や業者や車の出入りや機材の搬入などが挙げられます。
マンションの管理組合は共用部や設備の管理・運営、そして居住者の快適な住環境の確保や資産価値の維持向上を目的として存在していて、物件の所有者は分譲マンションを購入した時点で管理組合の一員となります。
その様な意味合いから、修理や工事をする場合は管理組合への事前連絡が必須と言うマンションもあります。
賃貸の場合は管理会社への連絡一択です。
ただし、蛇口の水漏れはいつ起きるか分かりません、深夜に発生したり管理会社の休日に発生したりすることもあります。
蛇口の水漏れが起きた時、管理会社に繋がらなくて困るのは自分自身です。
なので、事前に深夜や管理会社の休日に水のトラブルが発生したらどうしたら良いかを確認しておきましょう。
管理会社によっては対応時間外専用の連絡先がある場合もあります。
ちなみに、管理会社に無連絡で修理をするとトラブルになる恐れがありますのでご注意ください。
まとめ
マンションで蛇口の水漏れが起きた場合は応急処置(水を止める)をすることが大事です。
水を止める応急処置は「止水栓を閉める」「元栓を閉める」「ハンドル/レバーを動かさない」という3パターンなので、水漏れ症状に合った応急処置を選択して行いましょう。
また、応急処置後は分譲、賃貸で行動が変わります。何でもかんでも自分で修理すれば良い、水道業者に連絡すれば良いというものではありません、マンションならではの適した行動がありますので、しっかり対応できるようにしましょう。

