水道業者にぼったくられた!トラブル防止の知るべき事例・相談先・業者の選び方

水道業者にぼったくられた!トラブル防止の知るべき事例・相談先・業者の選び方

「自分は大丈夫」と思っていませんか?
 水道業者にぼったくられるトラブルは、誰にでも起こる可能性があります。

トイレの詰まりや水漏れなど、水道の不具合は突然発生します。
水が使えなくなると困るため、つい慌てて修理業者を探してしまいがちです。
悪徳業者がそこに付け入り、高額な料金を請求するケースが後を絶ちません。

本記事では、実際のぼったくり事例や「ぼったくられた」ときの対策と対応、さらに信頼できる水道修理業者を選ぶためのポイントを詳しく解説します。
消費者センターの情報も交え、安心して依頼できるための知識をお届けします。

悪徳水道業者によるぼったくり|被害傾向と事例

水道業者によるぼったくり被害は依然として多く発生しています。
インターネット広告で集客し、高額請求をするなど手口もますます巧妙化しています。
実例を知ることが防止の第一歩です。
具体的な傾向と被害の事例を見ていきましょう。

ぼったくり被害は高い件数で推移

※引用 国民生活センター「暮らしのレスキューサービスに係る消費者相 談の概況」より

※引用 国民生活センター「暮らしのレスキューサービスに係る消費者相 談の概況」より

※引用 国民生活センター「暮らしのレスキューサービスに係る消費者相 談の概況」より

※引用 国民生活センター「暮らしのレスキューサービスに係る消費者相 談の概況」より

国民生活センターのデータによると、水道修理やトイレ修理に関する相談件数は、コロナ禍で在宅の方が多くなった2020〜2021年に急増しています。
トイレ修理では年間2,600件超、水漏れ・排管修理でも900件を超える相談が寄せられています。
近年はやや減少傾向にありますが、2024年度はトイレ修理の被害は1,200件超と依然高い水準です。

しかも、これはあくまで相談として届け出られた件数です。
届けられていないケースを含めれば、実際の被害はさらに多いと考えられます。

被害者は女性の割合がやや高く、平均年齢は50〜60代とやや高めです。
在宅時間が長い高齢者は、特にターゲットになりやすい傾向があります。
しかし、年齢に関係なく「急いで修理しなければ」という焦りから、冷静な判断ができず、高額な料金を支払ってしまうケースも少なくありません。

いざ水道トラブルが起こったというときに、焦らないように事前に良質な水道業者を見極める方法を知っておきましょう。
できれば、あらかじめ信頼できる業者を探しておきたいものです。
 悪質な広告や詐欺まがいの請求に騙されないための備えをしておきましょう。

ぼったくり水道業者によるトラブル実例

実際の被害事例を見ると、巧妙で多様な手口で被害が出ています。

  • インターネットで「390円から」と格安料金をうたう広告を見て依頼したところ、作業中に追加作業を次々にいわれ、30分の作業が終わると55万円を請求されたケース
  • 「見積もり無料」の広告を見てきてもらったところ、勝手に蛇口を外すなどして作業を始め、見積もり料として2万円を請求。さらに「水道管がさびている」との理由で50万円を提示された事例
  • 依頼していないのに業者が勝手に家に上がり込み、無断で作業を行い、80万円を請求した悪質なケースも
  • ポストに入っていたマグネット広告を見て呼んだ業者が、次々と不要な作業を追加し、最終的に14万8千円を請求した事例

被害はインターネット広告に限らずチラシやマグネット広告でも発生しています。
こうした事例からも、広告の形式にかかわらず、

料金や作業内容を事前に確認し、契約前に冷静に判断することが大切です。


一人で不安な場合は、家族や知人、消費者センターなどに相談することも、悪徳業者の被害を防ぐ有効な方法の一つです。

ぼったくり水道業者の特徴

ぼったくり水道業者には共通する特徴があります。
料金表示や住所や連絡先の不明確さ、明確な見積もりがない、説明不足など、依頼前に気付けるサインがあります。
具体的な特徴を確認していきましょう。

1.ホームページに料金や所在地の記載がない

悪質な水道業者の多くは、ホームページに料金表や所在地、会社名、電話番号などの会社概要を明記していません。
連絡先の情報がない場合、後から連絡できず被害にあっても、泣き寝入りになる可能性があります。

水道トラブルで業者を探しているときは、サイトに大きく記載されている格安の料金や出張エリアが気になり、会社概要(特定商取引法に基づく表示)を見落としがちになります。
特定商取引法に基づく表示がない場合は違法のサイトともいえるため、慌てていても会社名、住所などを必ず確認しましょう。

依頼前にはGoogleマップなどで住所や会社が実在するかを確認しましょう。

2.激安の価格で集客し、作業後に高額請求

「基本料金390円」など、相場からかけ離れた激安価格を提示している業者は要注意です。
激安の金額を提示して集客する方法は「おとり広告」です。
依頼すると、現地(家)での見積もりが高額であったり、作業後に追加料金加算したりといった、高額請求をするケースが考えられます。

通常、業者が依頼者宅に出張するだけでも人件費や交通費がかかります。
夜間や緊急対応の場合は、さらに費用がかかるのが一般的です。
水道トラブルの修理が数百円の料金でできるはずがないことを考え、激安価格には悪質業者の可能性があると疑うことが大切です。
依頼前に総額の見積もりを必ず確認しましょう。

3.見積もり・説明なしに作業を始める

家を訪問した際に、書面での見積もりもなく、何の説明もないまま作業を始める業者には注意が必要です。
口頭だけの説明で進めてしまうと、後で「言った・聞いていない」といったトラブルにつながります。

また、「排水管がさび付いている」「このままだと大変なことになる」などと不安をあおり、作業の依頼を強く促す手口もあります。
さらに、見積もり後に依頼を断っても「出張料」「見積もりのための作業料」などの名目で料金を請求されることも。

必ず作業前に書面で見積もりを受け取り、納得できるまでは契約しないことが大切です。

4.必要のない作業を強引に進める

トイレの詰まり取りだけを依頼したのに、「このままだと再発する」などと不安をあおり、高圧洗浄や配管交換、便器の取り外しなど不要な作業を強引に進める業者もいます。
初期の見積もりは安く提示し、追加作業を次々に了承させ、最終的な合計額を高額にする手口です。

作業を断ると、態度が急変して高圧的な対応をされることもあります。
依頼内容以外の作業については、たとえ急かされてもすぐに了承せず、費用や必要性をしっかり確認しましょう。
不安な場合は、信頼できる他の業者に見積もりを取り直してもよいので、急いで作業を進めるのは避けましょう。

5.サイト掲載の情報や口コミが作られたもの

インターネットサイトに掲載されている利用者の声が高評価の場合、業者自身や関係者が書いた“サクラ”の可能性があります。
短期間に複数の高評価が集中して投稿されている、文章が単調で似通っている、不自然なまでほめている場合は要注意です。
評価が高い業者で、会社概要が記載されていない場合は、とくに警戒が必要です。
さらに、比較サイトの「おすすめランキング」は広告料の支払いによって順位が左右されることがあります。
口コミを参考にする際は、複数の情報源(SNS、Googleマップなど)を確認し、自治体の水道局で指定業者であることを照合しましょう。

ぼったくり業者かも…と思ったときの対処法

ぼったくり業者かも…と思ったときの対処法

水道業者の請求額や対応に不審な点を感じ、「ぼったくりかも」と思ったらすぐに行動しましょう。
トラブル時に相談できる連絡先をまとめました。

連絡先電話番号相談内容やポイント
警察(24時間)110緊急時の連絡先です。
 威圧的な態度や言葉で身の危険を感じる。帰ってほしいと伝えているのに、居座るなどの場合には警察に助けを求めましょう
消費者ホットライン
平日:9:00〜17:00
土・日・祝:10:00~16:00
188各地の消費者センターにつながります。悪徳商法やぼったくりなど、契約トラブルを相談できます
(年末年始は受付が休み)
警察相談窓口
平日:8:30〜17:15
#9110緊急ではないが、警察に相談したいときに利用しましょう。悪徳商法やぼったくりなどを相談できます。
 (受付時間は、各都道府県警察本部で異なります)
カード会社使用カードのサポート窓口クレジットカードで支払ってしまった場合は、被害届を出し、カード会社に連絡する

次に、ぼったくり業者かもしれないと感じたときに取れる対処法や相談先について解説します。

1.家族や知り合いに連絡して、来てもらう

業者の態度が高圧的な場合や、見積もり金額や作業内容に不安を感じた場合は、一人で対応せず、すぐに家族や知り合いに連絡して来てもらいましょう。
第三者が同席することで、業者も強引な対応をしにくくなります。

また、「家族に相談してからでないと決められません」と伝えれば、その場で契約や支払いを迫られるのを防ぎ、冷静に判断する時間を確保できます。
とくに高額請求が疑われる場合は、一人で支払いの判断は避けましょう。

2.その場でサインや支払いはしない

ぼったくり業者は、契約書へのサインや現金での支払いを急がせる傾向があり、支払えないと伝えると「今なら値引きします」などと迫ってくるケースもあります。

対策は、その場で応じないことです。
契約や支払いは一度してしまうと取り消しが難しいため、必ず家族や消費者センターなどに相談しましょう。

3.作業内容と請求金額を写真・録音などで記録

3.作業内容と請求金額を写真・録音などで記録

ぼったくり業者への有効な対策は、証拠をしっかり残すことです。

請求書や領収書、名刺などの書類は必ず保存します。
名刺がない場合は、業者名や担当者名、依頼の経緯などは、日にちと時間を入れてすべてメモに残しましょう。
また、業者とのやり取りはスマホで録音し、作業前・作業中・作業後の現場写真や動画を撮影すれば、「必要のない工事」や「行っていない作業」など証明する材料になります。

残した証拠は、消費生活センターや警察への相談時に必ず共有しましょう。

4.消費生活センターや自治体窓口に相談

4.消費生活センターや自治体窓口に相談

ぼったくり被害にあったと思ったら、泣き寝入りせずに行動しましょう。
早めに「消費生活センター」に電話で相談しましょう。
全国共通の短縮番号「188(いやや)」にかければ、最寄りの消費生活センターにつながります。

専門機関に相談することで、具体的な解決策や返金交渉のサポートを受けられる可能性があります。

5.クーリングオフ制度は使えるか

5.クーリングオフ制度は使えるか

業者が自宅に来て契約した「訪問販売」に該当すれば、契約書受け取りから8日以内なら理由を問わずクーリングオフが可能です。
以下に、クーリングオフを行う際のポイントをまとめました。

ポイント内容
消費生活センターへ連絡電話番号:188・不明点やわからないことや手続きの進め方を相談できる。
契約書を保管領収書は必ず保存、控えに日付をメモして手元に保管
写真や録音を保管証拠になるため保管
期限契約書受け取りから8日以内(消印有効)
相手への通知書面やはがきで、相手に通知。契約日・作業名・契約番号・解除の意思・氏名住所・日付を明記して発送(内容証明郵便で送る)。コピーは取っておく。

わからないことがあれば消費者センターに相談しながら、落ち着いて手続きを進めましょう。
期限は8日間ですので、できるだけ早めの行動が重要です。

6.悪質・緊急時は迷わず警察へ連絡を

業者からの恫喝がある場合や、支払いを迫って帰ってくれないなどの場合は、「恐喝」や「居座り」に該当する可能性があります。
身の危険を感じたら、速やかに警察(110番)へ通報しましょう。
やり取りを録音することも有効な証拠になります。

また、被害額が大きい場合や返金交渉が難しい場合は、弁護士に相談という方法もあります。

依頼前に必ずチェック!信頼できる水道業者の選び方

依頼前に必ずチェック!信頼できる水道業者の選び方

ぼったくり被害を防ぐには、依頼前の業者選びが何より重要です。
ここでは、信頼できる水道業者を見極めるための具体的なチェックポイントを紹介します。

1.指定給水装置工事事業者であるか

水道工事を安心して任せられる業者かどうかを見極める最も重要なポイントは、「指定給水装置工事事業者」であるかどうかです。

一般に、「指定業者」などと省略して呼ばれ、自治体が適正な水道工事が行えるとして指定している業者です。指定業者には、必ず「給水装置工事主任技術者(国家資格)」の有資格者が在籍しているため、知識や技術的にも安心できます。

各地域の水道業者の確認方法は簡単で、自治体の水道局のサイトにある「指定給水装置工事事業者一覧」をチェックしましょう。
この一覧に掲載されている水道業者に、依頼するのが安全といえます。

インターネットサイトやチラシで、「水道局指定業者」を名乗っていても、実際には登録されていない業者もあるため要注意です。
必ず水道局の一覧表で、住所や電話番号が一致しているか確認しましょう。

2.電話対応や訪問時の説明が丁寧かどうか

問い合わせ時の電話対応や訪問時の説明態度は、信頼できる水道業者かを見極めるポイントの一つです。
丁寧に対応してくれるか、質問に対してわかるように答えてくれるかなどで、担当者の誠実さが確認できます。
訪問時には、担当者の名刺や資格証を提示してもらい、身元を確認することも大切です。

逆に、「すぐ直さないと大変なことになる」など不安をあおり、高圧的な話し方や契約を急がせる業者は危険です。
業者の対応は、安心できる業者選びの判断基準になるため、慎重に観察しましょう。

3.見積もりの提示があるか

3.見積もりの提示があるか

信頼できる水道業者は、作業前に必ず書面で見積もりを提示します。
まずは電話で大まかな料金システムと今回のトラブルにかかる料金を確認し、訪問後は詳細な内訳が記載された見積書を受け取りましょう。

「作業をしてから金額を確定する」という業者は危険です。
また、費用を「一式」だけで書いた見積もりも、丁寧ではありません。
勝手に作業を始める業者も注意しましょう。

作業中に追加請求が発生した場合は、その場で承諾せず、不明点は遠慮なく質問し、作業内容・金額ともに納得してから判断しましょう。

4.口コミ・実績・料金体系の確認も忘れずに

4.口コミ・実績・料金体系の確認も忘れずに

業者選びでは、公式サイトだけでなくSNSやGoogleマップの口コミなど外部の口コミも必ず確認し、評判と実績を確認しましょう。
外部の口コミでも、「評価が高すぎる」「投稿時期が偏っている」場合はサクラの可能性があります。

さらに、料金体系が明確に記載されているかをチェックし、不明瞭な表示や一式料金だけの提示には注意が必要です。

ぼったくりを防ぐ!トラブル前にできる3つの対策

水道トラブルは事前の備えで被害を防げます。
ぼったくりにあわないために、3つの対策を理解しておきましょう。

応急処置で余裕を持って依頼する

水漏れや詰まりが起きたら、まずは自分でできる応急処置を行いましょう。
止水栓を閉め、水を止めて被害状況をスマホなどで写真撮影して記録します。
その後、タオルやバケツを使って水が広がらないよう被害を抑えましょう。
たまった水を拭き取ったり水漏れを止めたりするなど、手を動かすことで気持ちが落ち着き、冷静に業者選びができます。
応急処置で、被害の広がりを抑えることで、結果的にぼったくり業者を避けやすくなります。

緊急時でも慌てず、複数社をしっかり比較・調査

水道トラブルは緊急性が高いため、焦って依頼するとトラブルに巻き込まれやすくなります。
業者を選ぶ際は、少なくとも2〜3社は比較しましょう。

業者をピックアップしたら、「指定給水装置工事事業者(指定業者)か」「費用は適切か」「対応が丁寧か」「口コミ」などを調査しましょう。
複数の業者から見積もりを取ることを検討してもいいでしょう。

複数の業者を調査し比較することで、安心できる業者が見えてくるでしょう。

平素に信頼できる業者をリストアップしておく

水道トラブルがない平常時こそ、信頼できる業者を見つけて連絡先をスマートフォンに登録しておくことが大切です。
いざというときも慌てずに依頼でき、ぼったくり被害のリスクを減らせます。
業者を探す際は、地元の水道局が公表している指定業者一覧を必ず確認しましょう。

事前に比較・検討しておくことで、緊急時も安心して対応できます。

水道業者にぼったくられないために「事前の知識と調査」が重要

悪質な水道業者によるぼったくり被害は後を絶ちませんが、見極めのポイントを知っていれば防ぐことができます。

誠実で適正な料金で修理をしてくれる水道業者が本来の姿です。
「指定業者に依頼する」「焦って安すぎる業者に連絡しない」この2点を心に留めて、業者についてしっかり調査・確認するだけでも、被害のリスクは大きく減らせます。

悪質業者による被害を他人事と思わず、十分に注意して業者選びを行いましょう。