トイレの給水管からの水漏れ原因と修理方法|自分でできる応急処置も解説
トイレのタンク横につながる給水管から水漏れすると、床に水たまりができて思わず焦ってしまいますよね。
実は、給水管の水漏れはトイレでよくあるトラブルのひとつで、原因はパッキンの劣化やナットの緩みなど、シンプルな原因が多いです。
この記事では、給水管からの水漏れ原因や応急処置の手順、自分でできる修理方法を解説します。
また、業者へ依頼するケースや費用相場、賃貸物件での対応ポイントも紹介しますので、トイレの給水管の水漏れトラブルを解決する際に、ぜひご活用ください。
目次
トイレの給水管の水漏れ!|まずは応急処置
トイレの給水管からの水漏れに気が付いたら、まず漏れている水を止めましょう。
水漏れには、じわじわと漏れやポタポタ漏れ、水が流れ続ける場合もあります 。
代表的な症状と、応急処置の注意点を解説します。
トイレの給水管のよくある水漏れ箇所と症状
トイレの給水管からの水漏れ発生しやすい主な個所は、4つあります。
- 止水栓とフレキ管(フレキシブル管)の接続部
- タンクとフレキ管の接続部
- 止水栓自体の水漏れ
- フレキ管のひび割れ
水滴が落ちる位置を見れば大体の見当はつきますが、給水管周りを雑巾で拭いて、正確な位置を確認すると、修理する場所を把握できます。
給水管の水漏れの典型的な症状としては、接続部分からのポタポタと垂れる水で、床に水たまりができるというケースです。
それ以外に、給水管自体にひび割れが生じて流れるように水が漏れる状態になることもあります。
また、どこからかジワジワと漏れ続けているような症状も少なくありません。
ただしジワジワタイプの水漏れには注意が必要です。
実は、水漏れではなく「結露」のことがあります。
冬場や梅雨時は、冷えた給水管に水滴が付着し、水滴が大きくなって床に落ちてしまうケースです。
結露か水漏れかの見分け方は、給水管全体に細かな水滴が付いているかどうか、また拭き取った後しばらく水滴が落ちてこないかどうかで判断できます。
まずは応急処置|注意点あり
トイレの給水管からの水漏れは、まず水を拭き取り止水栓を閉めて水を止めるのが基本です。ウォシュレットがある場合は、万が一の感電を防ぐために、コンセントを抜きましょう。
ただし、止水栓を閉めると、トイレが流せなくなるため、使用するたびに止水栓を開け閉めする必要があります。そのため、漏れの量がごく少ない場合は、一時的にバケツや雑巾で水を受ける方法もあります。
子どもや高齢者がいる場合は、止水栓の開け閉めは現実的ではないため、早めの修理を検討しましょう。
【参考】
止水栓の開け閉め以外の水を流す方法としては、バケツに水を入れておきトイレの使用後に、水を流し入れるという方法もあります。
賃貸の場合は必ず写真や動画で水漏れ状況を記録しておきましょう。
管理会社や大家さんに伝えておくと、スムーズに対応してもらえます。
応急処置はあくまで一時的に被害を抑えるための方法です。
放置せず、できるだけ早めに修理を行いましょう。
トイレの給水管の役割と構造
トイレの給水管は、タンクに水を供給するための大切な部品です。
基本的な流れは次のとおりです。
水道本管 →( 壁や床下の)給水管 → 止水栓 → フレキシブルパイプ → タンク
この流れの途中にあるいくつかの部品が、水漏れの原因となることがあります。
- 止水栓:トイレの水を止めたり流したりする役割、給水量をここで調節する。水漏れ時の応急処置では、閉めるのが必須
- ナット:接続部分を固定する金具
- パッキン:金属同士の接続部分を密閉するゴム製の部品。劣化すると水漏れの原因になる
また、ウォシュレット付きトイレの場合は、止水栓から分岐してホースでウォシュレットに給水される仕組みになっています。
給水管の構造を知っておくと、修理の流れも理解しやすくなります。
トイレの給水管から水漏れする原因
トイレの給水管から水漏れする原因はさまざまですが、多くはナットの緩みと部品の劣化による破損です。
主な原因を順に確認していきましょう。
ナットや接続部分の緩み
止水栓とフレキ管(フレキシブルパイプ)、フレキ管とタンクをつなぐ接続部分にあるのがナットです。
このナットは、長年の使用による振動や経年の変化で少しずつ緩むことがあり、水漏れにつながります。
また、自分で修理や交換を行った際に、ナットの締め付けが甘く、水漏れにつながるケースもあります。
ナットは強く締めすぎても部品を傷める原因になるため、適度な力加減で固定することが大切です。
パッキンの劣化
給水管の接続部分にはゴム製のパッキンが使われており、経年劣化によってパッキンの硬化や変形が進むと隙間ができて、水漏れの原因になります。
パッキンの寿命は一般的に約10年といわれますが、水質や使用状況によって前後します。
築年数が古い住宅や、10年以上パッキンを交換していないトイレでは注意が必要です。
パッキン自体は安価で購入しやすい部品です。
水漏れが起きた際にパッキンの劣化が疑われる場合は、早めに交換しましょう。
給水管本体の破損・ひび割れ
フレキ管の破損・ひび割れも水漏れの原因になります。
現在、多くの家庭ではステンレスなどの金属製でジャバラのような見た目のフレキ管が使われています。
以前は、見た目がストレートななまし管が使われていました。
また、近年では樹脂製のホースが使われているトイレもあります。
これらは経年劣化によって亀裂やひびが入ることがあり、強い衝撃が加わった場合には破損につながります。
破損やひび割れは、給水管自体の交換が必要です。
止水栓の不具合
止水栓は給水を調整する重要な部品です。
内部に使われているパッキンが劣化すると、水が漏れる原因になります。
止水栓から水が漏れている場合は、止水栓内のパッキンを交換しましょう。
止水栓のパッキンには、三角パッキンと、コマパッキン(ケレップ)があり、ホームセンターやネット通販で購入できます。
交換は、簡単ですので、DIY初心者の方でも挑戦しやすい作業です。
トイレの給水管の水漏れを見極めるには
水漏れを正しく直すためには、原因箇所を特定することが大切です。
ここでは、給水管や止水栓周りをチェックする方法を紹介します 。
- 給水管全体の目視チェック
給水管全体を目視し、接続部分のナットのあたりが濡れていないか確認します。
タオルで拭き取ってから水が出ているところを探すと、漏れている箇所を特定しやすくなります。
フレキ管に亀裂がないかも一緒に確認しましょう。 - 止水栓周りをチェック
止水栓の下に水滴がないか、止水栓に水が滲んでいないか確認します。
特に接続部やナットは要チェックです。
ウォシュレットの分岐がある場合は、分岐部分からの水漏れの可能性もあるため、しっかり確認することが大切です。 - 水漏れ箇所がわからない場合
目視で漏れ箇所が特定できない場合、床下や壁の内部から水がにじみ出ている可能性もあります。
この場合は自分で原因を探るのが難しいため、早めに水道業者へ点検の依頼をおすすめします。
自分でできるトイレの給水管の水漏れ修理方法
トイレの給水管からの水漏れは、多くの場合、ナットの締め直しかパッキン交換で解消でき、DIY初心者にも可能な修理です。
修理方法を順を追って解説しますので、ご自身で対応できそうであれば、ぜひ挑戦してみてください。
ナットの締め直し
給水管の接続部分からの水漏れは、ナットの緩みが原因のことが多く、簡単な締め直しで改善できる場合があります。
かかる時間は3~5分程度です。
【道具】
モンキーレンチ、マイナスドライバー(止水栓を閉める)、タオル(水拭き取り用)
【手順】
- 止水栓を閉め、水が流れない状態にする。
- ナットは止水栓とフレキ管、フレキ管とタンクをつなぐ部分にある。
- 水漏れをしている部分のナットを、反時計回りにモンキーレンチで少しずつ締め直す。
力任せに閉めると、ナットやタンクが破損する恐れがあるため、ゆっくり加減をしながら締める。もう一方も、緩んでいるなら増し閉めを行う。 - 水を流して漏れが止まったか確認する。
締め直しても水漏れが止まらない場合は、パッキンの劣化が考えられるため、パッキン交換を行いましょう。
給水管のパッキン交換方法
給水管のパッキンを交換する際に、注意が必要なのはサイズ です。
トイレの取扱説明書か、給水管にメーカー名や型番が記載されていれば、ネットで検索して調べることもできます。
どちらもわからない場合は、パッキンを外してホームセンターに持っていき、同じサイズのものを購入するのが確実です。
【道具】
モンキーレンチ、マイナスドライバー(止水栓を閉める)、新しいパッキン、タオル(水拭き取り用)
【手順】
- 止水栓を時計回りに閉め、水が流れないようにする
- 【給水管とタンクの接続部】
タンクのふたを開ける(陶器製は重いので注意)。タンク内のパーツ(ボールタップ)を手で押さえて、給水管のナットをモンキーレンチで反時計回りに緩める - 【止水栓と給水管の接続部】
ナットを反時計回りに回して緩め、給水管(フレキ管)を外す、その際水が出るのでタオルで受ける - 止水栓側は、スリップパッキンをアジャストパッキンの2つのパッキンがあるので交換する
- タンク側の、ジョイントパッキン1個を交換する
- フレキ管を止水栓側とタンク側で位置合わせを行い、タンク側を手で締め、その後止水栓側を手で締める。
- モンキーレンチでナットを締め直し、水を流して漏れが止まったか確認する。
パッキンの取り付け方向や順番を間違えると再び水漏れが起きるため、位置と向きを確認して交換することが大切です。
給水管自体の交換
給水管自体にひび割れや破損がある場合は、給水管の交換が必要です。
手順は、パッキン交換でナットを緩め、管を外した手順と同じです。
給水管(フレキ管)を新しいものに交換しましょう。
フレキ管の正式名称は「フレキシブルパイプ」で、購入時には管のサイズ(呼び径)と長さが同じものを購入する必要があります。
既存の給水管のメーカーや品番がわからない場合は、外した給水管をホームセンターに持参するのが確実です。
DIYが不安な場合や、接続部の状態が悪い場合は無理に自分で交換せず、早めに業者に相談しましょう。
止水栓のパッキン交換
止水栓の内部にもパッキンがあり、このパッキンが劣化すると止水栓からも水漏れが起こります。
パッキンのサイズを確認して、三角パッキン(ワッシャーがセットになっていることもある)とコマパッキン(ケレップ)を準備しましょう。
【道具】
モンキーレンチかウォーターポンププライヤー、マイナスドライバー、ラジオペンチ、三角パッキン・コマパッキン、バケツ(水受け用)、タオル(水拭き取り用)
【手順】
- 元栓を時計回りに閉める
(閉める際に、何回、回したかを覚えておくと戻すときの調節が楽) - 洗面台などで蛇口を開けて、水を出し切る(水抜き)。
止水栓の下に、水受けのバケツを置く。 - ハンドルがある場合は、ハンドルを外す
(ハンドル中央を外して中央のビスを外し、ハンドルを抜く) - モンキーレンチでナットを反時計回りに回し緩め、手で回して外す
- ナットを外したら三角パッキンが見えるのでワッシャーとともに取り出す。
ラジオペンチでスピンドルをつまみ、取り出す。
回す必要があれば、回して取り出す。 - スピンドルからコマパッキン(ケレップ)を抜き、新しいものに差し替える。
- スピンドルを止水栓に戻し、新しいワッシャーと三角パッキンを取り付け、外したときと逆の手順で戻す
- 元栓を開け、止水栓を調節し、水漏れがないか確認する
三角パッキンとセットになっているワッシャーは、パッキンのねじれを防止するためのものです。
ナットを締めすぎると、止水栓を回す際に重くなります。
無理に締め付けないようにしましょう。
トイレの給水管の水漏れ修理を業者に依頼するべきケースと費用相場
水漏れが複雑で原因が特定できない場合や、配管の劣化が激しい場合は自力修理が難しいこともあります。
ここでは業者に依頼すべきケースや費用相場を紹介します。
業者を呼んだ方がいいケース
トイレの給水管の水漏れは自分で修理することが可能ですが、以下の場合は水道業者に依頼することをおすすめします。
- 水漏れの箇所が特定できない
- 配管が古くさびている、ナットが硬くて回らない
- 壁内部の配管に不具合がある
- 自分で修理しても改善しない
- 修理する自信がなく不安
これらの場合、無理に作業を続けると破損につながる恐れがありますので、早めに専門の業者に修理を依頼しましょう。
修理費用の目安
トイレの給水管修理を業者に依頼する場合、費用は作業内容によって変わります。
以下は作業料金の一例です。業者により出張費や、夜間・休日料金が別途加算されます。
トイレの給水管修理 | 費用の目安(部品代別途) |
フレキ管の給水パッキン交換 | 3,000円~5,000円 |
止水栓の三角パッキン交換 | 3,000円~5,000円 |
フレキシブル管(給水管)交換 | 5,000円~8,000円 |
止水栓交換 | 8,000円~10,000円 |
分岐水栓の取り付け・取外し | 10,000円~12,000円 |
ナットの増し閉め | 3,000円~5,000円 |
トイレの給水管からの水漏れは床に漏れてきて焦ってしまう事が多いかもしれませんが、タオルを敷いたり元栓を閉めるなどして対応し、見積もりを依頼する際は、落ち着いて作業料・部品代・出張費などの内訳をしっかり確認しましょう。
業者選びのポイント
トイレの給水管修理を安心して任せるためには、業者選びが重要です。
特に次の5つのポイントに注意しましょう。
- 無料見積もりの有無・・・現地調査後に無料見積もりをしてもらい依頼が決定できる
- 料金の明確さ・・・見積もりでは一式表示ではなく、項目が分かれているか確認
- 水道局指定業者かどうか・・・信頼性が高い。水道局のホームページで確認すること
- 料金の相場感・・・極端に安すぎる、あるいは高額すぎる業者は注意
- 口コミの確認・・・SNSやGoogleマップなどの口コミを確認する
信頼できる業者を選ぶことが、無駄な出費やトラブルを防ぐポイントになります。
賃貸物件でトイレの給水管に水漏れが起こったら
賃貸物件でトイレの給水管が水漏れした場合は、自分で修理をする前に、管理会社や大家さんへ連絡を取りましょう。
ここでは賃貸の場合の注意点を解説します。
まず管理会社や大家さんに連絡
賃貸物件でトイレの給水管から水漏れした場合は、まず管理会社や大家さんへ連絡しましょう。
勝手に修理して破損を広げてしまうと、修理費を自己負担しなければならない可能性があります。
【連絡時に伝えるべき情報】
- 発生日時
- 水漏れの状況
- 水漏れ箇所の写真や動画
記録を残して伝えることで、状況が正確に伝わり、対応もスムーズになります。
修理費用の負担について
賃貸物件のトイレ給水管からの水漏れは、原因によって修理費の負担先が変わります。
経年劣化の水漏れの場合は、管理会社や大家の負担となるのが基本です。
ただし入居者が物をぶつけて破損させたような場合は、入居者負担となる可能性があります。
判断は管理会社や賃貸契約内容によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
自己判断で修理するとトラブルになりやすいため、まずは管理側の指示を仰ぎましょう。
給水管の水漏れを防ぐ予防策3つ
トイレが水漏れで使えなくなると、生活への影響は予想以上に大きくなります。
そこで、水漏れを防ぐためには、次の3つのポイントを意識しましょう。
まず、「定期的な点検と清掃」です。
ナットやパッキンが緩んでいないか、サビやホコリがたまっていないかを掃除をしながら確認します。
次に、「小さな水漏れを見逃さない習慣」が大切です。
床が湿っていたり、給水管の表面が濡れていたりすると感じたら、早めにチェックを行い、初期段階で修理しましょう。
最後に、「リフォームや交換の検討」です。
築年数が古い住宅では、トイレ全体のリフォームや設備の交換を行うことで、水漏れのリスクを大きく減らせます。
何気なく使っているトイレですが、水漏れトラブルを機に、トイレの大切さを見直しましょう。
トイレの給水管の水漏れは早めの対応がカギ!
トイレの給水管からの水漏れは、原因を特定できれば、自分で修理できるケースも少なくありません。
トイレのトラブルは少しでも早く解決したいものです。
水漏れは放置すると、床を傷めてしまいます。応急処置を行い、できるだけ早い段階で、自分で修理に挑戦してみましょう。
ナットの増し締めやパッキンの交換は、DIY初心者の方にもおすすめです 。
ナットが固くて回らない、フレキ管の長さが合わない、止水栓が固くて回らないといった場合や、自分では対応が難しいと感じたときは、早めに水道業者に相談しましょう。
必要に応じて専門業者に依頼することが、快適な生活を守るポイントです。