蛇口の根元からの水漏れ対処法、原因と自分でできる修理方法を紹介
ふと気づくと蛇口の根元が濡れている、「濡れた手でレバーを触ったからそれが伝って落ちたのかな?」なんて思っていたら、次の日も濡れていて、よく観察して見ると水漏れしていた、こういう水漏れは意外とよく起きています。
他には、キッチンで洗い物をする時、シンクの上をいつも濡らしてしまうので、蛇口の根元に水が溜まっていても「洗い物をした時に跳ねた水かな?」と思って見過ごしてしまい、蛇口がグラグラし出して異変に気付く、このようなケースもあります。
蛇口の根元から水漏れしている場合、原因は一体何なんでしょう?自分で直せる水漏れなのでしょうか?
今回は、蛇口根元からの水漏れについて、原因と自分でできる修理方法を紹介して行きます。
目次
蛇口根元の水漏れ症状と原因
蛇口根元の水漏れについてですが、蛇口にはいろいろなタイプがあり、「根元」と表現されるような場所はいくつかあります。
蛇口の根元と良く表される場所と水漏れ原因を見て行きましょう。
蛇口の根元と言われるのは以下の場所です。
蛇口のタイプ | 取付 | 根元と言われる場所 | 水漏れ原因 | DIYしやすさ |
シングルレバー混合水栓 | 台付 | 蛇口とシンクの接地部 | 水栓カートリッジの劣化 | 〇 |
シングルレバー混合水栓 | 台付 | 蛇口とシンクの接地部 | Xパッキンの劣化 | △ |
シングルレバー/2ハンドル混合水栓/ハンドル水栓 | 壁付 | スパウトと蛇口本体の接続部 ※ハンドル式は台付もあり | Uパッキンの劣化 | ◎ |
シングルレバー/2ハンドル混合水栓 | 壁付 | 蛇口本体と偏心管の接続部 | 偏心管パッキンの劣化 | 〇 |
シングルレバー/2ハンドル混合水栓/ハンドル水栓 | 壁付 | 偏心管と水道管の接続部/蛇口と水道管の接続部 | シールテープの劣化 | △ |
- 水栓カートリッジの劣化
水栓カートリッジが劣化、故障することにより、蛇口本体の外側に漏れ出した水が蛇口とシンクの接地部に溜まることがあります。
水が溜まっている部分は蛇口の根元部分ですが、根本の原因は水栓内部にあるカートリッジです。 - Xパッキンの劣化
Xパッキンは蛇口内に胴体部に取り付けられているパッキンですが、劣化するとカートリッジ同様、蛇口本体の外側に漏れ出し、蛇口とシンクの接地部に溜まることがあります。 - Uパッキンの劣化
Uパッキンはスパウトの根元に取り付けられていて、水を出している時にスパウトを左右に動かしても水漏れ起こさない為の部品です。
ちなみにスパウトが長かったり重かったりすると接続部に負荷がかかり、Uパッキンの消耗も早くなります。 - 偏心管パッキンの劣化
蛇口本体と偏心管の間に取り付けられているパッキンですが、基本的に動く場所ではないのであまり良く起こる水漏れではありません。 - シールテープの劣化
偏心管や単水栓、自在水栓の壁付は、壁中の給水管や給湯管と接続しています。
ネジ接続になっていて、シールテープで隙間を埋めることによって水漏れを防いでいます。
ここも普段動く場所ではありませんが、少し角度が変わっただけでも水漏れをすることがあります。
根元の水漏れを放置して酷くなったトラブル事例
冒頭でも話しましたが、台付シングルレバー混合水栓の根元に水が溜まっていた場合は様子を見たり、そもそも水漏れに気付かなかったりすることがあります。
しかし、蛇口とシンクの接地部に溜まった水は接続穴から浸透し、その結果、より酷いトラブルになることが良くあります。
それでは、水漏れを放置したことによって起こったトラブル事例を2つご紹介します。
蛇口根元の水漏れを放置してキッチン蛇口の交換になったケース①
最初は、蛇口の根元に溜まった水が原因で、蛇口本体の交換が必要になった事例です。
※蛇口使用年数7年
依頼内容は、「キッチンの蛇口がグラつく」ことと「シンク下に水漏れしている」とのことでした。訪問して状況を確認すると確かに蛇口がグラグラしていて、シンク下に水漏れしていました。水漏れの量はそれ程多くなく、シンク下はタオルで水を受けている状況でした。
ライトで照らしながらじっくり観察して行くと、蛇口本体から伸びている銅管から水漏れしていました。
最近の蛇口では少なくなっていますが、一昔前の台付シングルレバー混合水栓は本体から伸びている給水管、給湯管が銅製の管でした。
銅は熱伝導率が高く、柔らかさもある為、水回りに多く使われています。
今回はその銅管の部分が黒にも近い真緑になっていました。
この真緑の正体は緑青(ろくしょう)と言われる錆です。
緑青が発生する原因は酸素や二酸化炭素、水分が作用することによる銅の酸化によるものです。
緑青が銅管に付着すると保護膜と破壊して銅管に穴を開けて水漏れを起こすことがあり、今回はそのケースでシンク下に水漏れしていました。
それでは、緑青発生の元にもなった水分はどこからやってきたのでしょうか?
それは蛇口がグラついていたことによって蛇口とシンクの間に隙間ができ、その隙間から溜まっていた水が流れ、蛇口本体下の銅管に付くことになったのです。
但し、一日二日で緑青が発生し、銅管に穴を開けるということはありません。
今回のケースは数ヶ月から年単位で放置していて、その間に発生した緑青が銅管に穴を開けた訳です。
蛇口本体下から伸びる水用、お湯用の2本の銅管はその部分だけを交換することが出来ない為、蛇口本体の交換修理となりました。
蛇口がガタガタしていたのは本体固定ナットが緩んでいた為で、それを早く対処していれば水漏れの部品交換で済み、蛇口本体はまだまだ使えていたでしょう。
蛇口根元の水漏れを放置してキッチン蛇口の交換になったケース②
次も蛇口の根元に溜まった水が原因で、蛇口本体の交換が必要になった事例です。
ただし、ケース①とは本体交換が必要になった原因が違います。
※蛇口使用年数16年
依頼内容は、「キッチンの蛇口がグラつく」とのことでした。訪問して状況を確認すると蛇口がグラグラしているだけでなく、蛇口の根元に水漏れしている形跡がありました。
シンク下を確認すると水が垂れて来ることはありませんでしたが、木くずの様な物が落ちていました。
上をライトで照らすと土台の木の部分が水を吸って腐っていて、木がボロボロになっていました。
蛇口がグラついていた原因は土台の木に浸水して木が腐り、ボロボロになって剥がれ落ちたことにより、隙間が出来ていたからでした。
蛇口も限界を迎えていた為、蛇口交換は必須でしたが、問題はシンクの土台の部分です。
新しい蛇口を付けたとしても土台がボロボロなので、固定することができません。
いくつか選択肢はありましたが、今回は浸水してしまった土台の部分を全て取り除き、木材を加工して新しい土台を作り、蛇口を交換するという方法でした。
先ずは蛇口を取り外し、土台の浸水している部分を削り落として行きます。
一通り取り除けたら、寸法を測ってはめ込めるサイズの木材を切り出します。
木材のカットが出来たら水栓を通す穴も空けます。
この様に加工して新しい土台を作り、シンクに取り付け、新しい蛇口の取り付けを行いました。
このケースも長年の水漏れの放置が招いた結果でした。
台付シングルレバー蛇口グラつきの締め直しは自分でもできる?
それでは台付シングルレバー蛇口グラつきの締め直しについて見て行きましょう。
※シンク下から蛇口固定ナットで閉めるタイプで説明して行きます。
まずはキッチン蛇口に付いて。キッチン蛇口の場合は以下の点がポイントになります。
・キッチン蛇口の固定ナットは高い位置にある ・蛇口固定ナットの締め直しには専用の工具が必要(水栓レンチ) ・蛇口の供回りに注意 ・固定ナットが固着していると相当厄介 ・作業スペースが狭く、作業体制がきつい |
キッチン蛇口の固定ナットは高い位置にあるのが作業を難しくしています。
シンクが迫り出しているので固定ナットのある場所辺りは狭くなっていて、蛇口の給水、給湯管、止水栓、排水栓、蛇腹ホース等があり、それらを避けながら作業をしなければいけないので作業体制がかなりきつくなります。
また固定ナットの大きさにあった水栓レンチも必要になりますが、この水栓レンチは基本的に蛇口の交換や締め直しにしか使用用途がありません。
更に固定ナットを締め直す時に蛇口本体が供回りする恐れもあります。
続いて洗面所蛇口場合は以下の点がポイントになります。
※洗面所の台付蛇口は、どの蛇口も基本的に下から固定ナットで閉めるタイプです。
・キッチン蛇口と比べれば、固定ナットは低い位置にある(作業しやすい) ・蛇口固定ナットの締め直しには専用の工具が必要 ・固定ナットが固着していると相当厄介 ・蛇口の供回りに注意(キッチン蛇口よりも供回りしやすい) ・作業スペースが狭く、作業体制がきつい(特にS字トラップパイプが邪魔になる) |
洗面所蛇口の大きなポイントは、固定ナットを締め直す時に蛇口が供回りしやすいことです。
作業がしにくい点で言えば、洗面台の下はキッチンシンクと比べて狭いので、S字トラップパイプがとても邪魔な位置にあります。
状況によってはS字トラップパイプを取り外さないと固定ナットの締め直しが出来ません。
しかし、キッチンと比べれば固定ナットの位置が低い為、その点は作業がしやすくなっています。
蛇口固定ナットの締め直しにはこれらのようなポイントがあるので、キッチン蛇口にしても洗面所蛇口にしても水道業者に依頼するのが一番安心で確実です。
ただし、DIYで行うことがNGと言っている訳ではありませんので、自分で締め直しをする場合はくれぐれも上記のポイントを忘れないようにしましょう。
蛇口根元からの水漏れで、自分でできる部品交換修理方法
自分でできる蛇口根元水漏れの修理方法を解説して行きますが、今回は以下の3つの修理方法をご紹介します。
- 水栓カートリッジ交換
- Uパッキン交換
- 偏心管パッキン交換
それでは一つずつ見て行きましょう。
水栓カートリッジ交換修理方法
- 止水栓を閉める
- レバーを取り外す
- カートリッジ押さえを取り外す
- 水栓カートリッジ取り外す
- 新しい水栓カートリッジを取り付ける
- カートリッジ押さえを取り付ける
- レバーを取り付ける
- 止水栓を開いて最終確認
手順は上記となりますが、ポイントや補足事項を紹介して行きます。
まず作業中は水栓回りの水分を良く拭き取って作業をするようにしましょう。
カートリッジの交換をすると、それなりに蛇口回りは濡れます。
濡れたまま新しい水栓カートリッジを取り付けてしまうと、最終確認の時に「残り水」で濡れているのか「作業のミス」で濡れているのかが分からなくなりますので気を付けましょう。
交換するカートリッジによってはバネやパッキン等がセパレートになっている物もあります(例:TOTO THY582N)ので、部品の付け忘れがない様にしましょう。
Uパッキン交換修理方法
- スパウト固定ナットを取り外す
- スパウトを取り外す
- Uパッキンを取り外す
- 新しいUパッキンを取り付ける
- スパウトを差し込む
- スパウト固定ナットを取り付ける
- 水を出して最終確認
水漏れ修理作業で一番簡単な修理と言っても良い程、簡単な修理作業です。
しかし、なめてかかるとどんなミスを起こすか分からないので、簡単な作業でもしっかり準備して集中して作業をしましょう。
Uパッキンの交換時はスパウトの根元部分の状態も良くチェックしましょう。
かなり摩耗していたり折れかけていたりすると、新しいUパッキンに交換しても水漏れすることがあります。
Uパッキンだけでなくスパウト自体もダメになっている場合はスパウトの交換をしましょう、ちなみにスパウト交換の為に新しいスパウトを購入すれば、新しいUパッキンもセットになっています。
偏心管パッキン交換修理方法
- 止水栓を閉める
- 偏心管ナットを緩める
- 蛇口本体部を取り外す
- 偏心管パッキンを取り外す
- 新しい偏心管パッキンを取り付ける
- 偏心管ナットを締める
- 止水栓を開いて最終確認
偏心管パッキンの交換は蛇口本体部を一度、取り外しますが、新しいパッキンに交換して蛇口本体部を取り付ける時がポイントになります。
それは、偏心管パッキンを立ててセットしなければいけない点です。ナット分の横幅はありますが、簡単に落ちやすくなっています。
また蛇口本体部は重たいので、パッキンの無い状態でも水側とお湯側のナットとネジを噛み合わせるのはやりにくいことがあります。
新しいパッキンはポロポロと落ちやすいので、余計にやりにくくなることもあります。
時にはパッキンは落ちたのに気づかずにナットを締め込み、通水したと途端に水が噴き出すといった事例もあります。
パッキンが欠落していないかの確認を必ずしてから止水栓を開くようにしましょう。
まとめ
蛇口根元の水漏れについて見てきましたが、「蛇口根元の水漏れに気付かない」「気付いていても放置する」ということは極力避けなければいけません。
そうしないと今回紹介したトラブル事例のようになる恐れがあります。
蛇口の根元回りを定期的に拭いたりチェックしたりする癖をつけると、「気付かない」ということも回避できます。
水栓カートリッジ、Uパッキン、偏心管パッキンの交換であれば充分にDIYで修理可能です。
作業手順とポイントをしっかり確認してから修理をしてみてください。
それでも上手く出来なかった時は気軽にご相談ください。